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吉野家より高い署名用紙。

 「決意!」という本を買った。本というよりブックレットのようなものだ。A5判で100ページ弱。著者は「古田敦也会長&日本プロ野球選手会編」。
 ジャケットには、「緊急出版!」「合併・1リーグ制NO!宣言」「プロ野球を愛するすべての人に知ってほしいセ・パ12球団752人『たかが選手たち』の主張」などと派手な文字が躍っている。選手会が自分たちの主張を世間に訴えるための出版物、ということらしい。古田会長のロングインタビュー、一連の動きのまとめ、選手会主催のシンポジウムの記録、各界の人々の寄せる声、などが主な内容だ。巻末には「選手会公認署名用紙」なるものもあり、署名の送付を呼びかけている。
 ここで中身について多くを論じるつもりはない。私は、現時点では、選手会の言い分に大筋では理があると考えている。

 私が違和感を覚えるのは、これが500円(税込み)という価格をつけて売られていることだ。野球ファンに賛同してもらいたい、選手会の事情と主張を理解してもらいたい、というのが本書の趣旨だろう。いわば頼みごとをする相手から金を取ろうという感覚は理解できない。そんなことが通用するのは、活動体が資金難で、本の販売が募金を兼ねている場合だけだが、少なくとも一軍にいるプロ野球選手は世間一般の水準よりずっと裕福なのだ。新聞を一面買いきって、意見広告でも出せばよいではないか。

 百歩譲って、「書店に流通させるためには有料である必要があった」と解釈することにしようか(だとしても本書には印税の使い道が明記されていない)。
 それなら球場内では、この冊子はどう扱われているのだろう。プロ野球の入場料金は決して安いものではない。内野の指定席に座って、ビール飲んで弁当でも食えば、たちまち5000円以上の出費になる。それだけの対価を払って球場を訪れた人々から、さらに金を取って自分たちの言い分を聞かせようというのか? 署名用紙に値段をつけて売ろうというのか?

 もしそんなことをしているのであれば、経営者たちとは次元が違うにせよ、選手たちもまた世間の常識から遊離した感覚の人たちと思わざるを得ない。
 古田会長はファンに支持されていることに自信をもっているようだ。大勢の賛同者の声が、彼の耳に届いているのだろう。だが、事態の推移にうんざりしてプロ野球に関心を失いつつある人々は、いちいち声を挙げはしない。ただ黙って離れていくだけだ。

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