10月の西武ドームで聞いた音楽。
●フェルナンデスとカブレラが打席に入る時のBGMは、スペイン語圏の選手だけあって、激しいリズムのラテン音楽。場内は盛り上がる。
しかし、音楽が終わるとスタンドはいったん静まり返り、しばらくして、「かっとーばせー、ほーせ」式の地味なリズムの応援が始まる。リセットせずに、ラテンのリズムのまま、つなげてやればいいのに。
●野田のテーマ曲は「マジンガーZ」で、細川は「きよしのズンドコ節」。それぞれに場内の世界が一変してしまうので、曲が終わるたびに、気を取り直して打席に集中しなければならない(選手が、ではない。観客の私が、だ)。西武の捕手陣、ちょっとどうかと思う。
細川は、伊東監督に「氷川きよしに似てる」と言われたのがきっかけだと聞く。野田がマジンガーZに似てるかどうかは知らない。
●日本シリーズの三塁側スタンド。しばしば「燃えよドラゴンズ」の大合唱。もう30年近く歌い継がれている曲だ。選手名さえ入れ替えれば毎年使えるというシステマティックな歌詞が成功の要因だろう。応援歌には珍しいマイナーな旋律でもある。
この曲では、節目ごとに
「いいぞ がんばれ ドラゴンズ 燃えよドラゴンズ」
という歌詞が入るわけだが、いちばん最後だけはリフレインで、
「がんばれ がんばれ ドラゴンズ 燃えよドラゴンズ」
と変わる。
私は昔から、ここを聞くたびに不覚にも胸が熱くなってしまう(ドラゴンズそのものに肩入れしたことなど、落合が監督になる以前はなかったのだが)。
頑張って欲しい気持ちの昂ぶりが最高潮に達し、遂に曲の定型から逸脱して暴走する瞬間、という感じがする。板東英二(最新版は水木一郎だそうだ)の歌に目頭を熱くしていていいのか>俺、という気がしないでもないが。
●パ・リーグのプレーオフ第1ステージの第2戦。左翼席の日本ハムファンは6回のチャンスに「北の国から」のスキャットを歌い始めた。さだまさしがゆるゆると歌っているアレを、火花の散るような無理やりのアップテンポで彼らは叫ぶ。歌声に乗せられたように、選手たちは連打連打で大量点を奪い、先制された試合をひっくり返していく。
日本ハムは札幌に移転してよかったんだな、と実感したのは、その時だった。
後で事情通の知人に聞いたところでは、いつも「北の国から」はチャンス・テーマとして用いられるが、あの試合では今シーズンもっとも長い間ぶっ通しで歌い続けたので、終わったときは皆、息も絶え絶えだったという。
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コメント
今朝の日経に、松井秀喜のインタビューが載っていました。打席入りの音楽の話が書かれていて、9月末から「ZZトップ、ヴァン・ヘイレン、AC/DC、ローリングストーンズ」に変更したら、調子が良くなったとか。打席ごとに変えてるのもすごいなぁと思いましたが、選手も聴いているんだな、と思いました。だからこそ、「きよし」じゃないですよねぇ・・・。
投稿: たむらん | 2004/11/02 10:08
日経、渋いインタビューを載せてますね。
ヤンキースタジアムでは、今年のはじめごろには松井の打席でゴジラの鳴き声(東宝映画の例のやつ)を鳴らしてましたが、本人が却下したということでしょうか(笑)。
テレビや球場で見てると、日米ともにロック系の音楽が多いようです(特に若い選手は)。発売中のNumberの石井貴インタビューでは、佐藤や赤田の趣味にはついていけない、と石井が嘆いていました(笑)。
投稿: 念仏の鉄 | 2004/11/02 19:39