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遅れてきた「松坂世代」。

 ドラフト会議の結果を見て、ほお、と思ったのは、楽天が最後の7巡目に指名した平石洋介外野手(24・トヨタ自動車)だった。
 松坂大輔の横浜高校が98年の夏の甲子園で優勝した時、準々決勝で対戦して延長17回を戦ったPL学園の主将だった。主将だったがスタメンでは出場していない。平石は控えの外野手だった。三塁コーチャーズボックスに立っていた平石は、捕手・小山良男の構えから球種を見抜き、密かに打者に伝えることで、難攻不落の松坂から3点の先制点をもたらしている。NHKのドキュメンタリー番組で紹介されたことをご記憶の方もいるはずだ。
(もっとも、実際にはそれほど話は単純ではないらしい。アサヒグラフ特別取材班『ドキュメント 横浜vs. PL学園』(朝日新聞社)には、さらに詳しい内情が書かれている)
 この試合では8回に代打で登場し三振したが、そのままライトを守って、延長11回裏にはレフト前ヒット、同点のホームを踏んでいる。トータル3打数1安打。

 翌年同大に進学して活躍、ここでもキャプテンを務めた。卒業後はトヨタ自動車に就職した。昨年、都市対抗のシダックス-トヨタ自動車戦を見に行った時には、確か二番センターだったと記憶している。シャープでスピード感のある選手だった。楽天の田尾監督は同志社の大先輩だ。同じ左打ちの外野手でもあり、バッティングを指導されたこともあったらしい。

 楽天の現在の陣容では、プロの一軍レベルの選手を9人スタメンに揃えられるかどうかも、まだ覚束ない。ドラフト指名された選手は全員が即戦力として期待されているはずだ。
 「攻走守にバランスはよいが、飛び抜けた部分がない」というのが、常に平石について回る評価だった。だが、得点力に多くを望めない打線の中では、数字に表れない実戦的な能力が、生まれたての寄り合い所帯の中では、肩の手術で試合に出られないのにチームメイトに主将に推されたキャプテンシーが、それぞれ貴重な力となるかも知れない。案外、こういう選手が楽天の浮沈の鍵を握っているんじゃないだろうか。

 そして、平石に球種を見抜かれた小山捕手も、亜大からJR東日本を経て、中日に8位で指名された。いわゆる「松坂世代」の選手がまとまってプロ入りするのは、このあたりが最後になる。PLのエースだった上重アナ(日本テレビ)も、バラエティばかり出てないで野球中継もしてくれないかな(笑)。

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