ある既視感。
マリノスとレッズのチャンピオンシップ第2戦を見ているうちに、ある既視感に襲われた。
劣勢を打開する見事なフリーキックの得点。
期待に反して徹底的に封じ込められ、遂には逆ギレして退場する若き攻撃の柱。
鬼神の如く相手の攻撃を跳ね返し続けながら、PK戦でミスを犯す守備の要。
いずれも5年前のチャンピオンシップで見た光景だった。
エスパルスの沢登は、アレックスのそれに劣らぬ鮮やかなフリーキックを決めた。
ジュビロの三浦文丈を足蹴にしたアレックスは、河合を蹴飛ばしたエメルソンのように、期待に応えられなかった悔しさに顔を歪めてピッチを去っていった。
闘莉王とは違って物静かな紳士だったサントスは、この日だけは別人のように闘志を剥き出してチームを鼓舞し続け、最後に力尽きた。
初戦を落としたチームが第2戦に追いついてPK戦に持ち込んだが敗れたという展開も、敗れた側が年間勝ち点1位というのも、今回と同じだった。
チャンピオンシップも今回で最後。NHK-BS1での第1戦の中継では、ハーフタイムに過去の試合のハイライト場面を流した。
ツバを吐くジーコ、ラモスの予定調和のようなループシュート、GKからボールを強奪してゴールを奪う中山、小笠原の鮮やかなフリーキック。いくつもの場面が、それらを見た時の興奮が、脳裏に甦ってくる。
たった12年といえども立派な歴史だ。力の入った試合を重ねてきたからこそ、今回のように、過去の名勝負と重ね合わせて鑑賞する楽しみも生まれてくる。
2ステージ制についてはいろんな批判もあるのだろうが、チャンピオンシップという制度が数々の見応えのある試合を見せてくれたのは確かだ。これに代わる舞台を、1ステージ制の中で、どうやって作っていくのか。あるいは、長い1シーズンの末の優勝は、これまでにないような劇的なものになりうるのか。
25年続いたトヨタカップも今回で終わる。サッカー界の12月は、ずいぶんと異なるものになりそうだ。
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