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遊びはマジになってこそ。

 正月はサッカー、アメフト、駅伝等々、さまざまなスポーツ中継が放送されるのが常だが、私が毎年楽しみにしているスポーツ番組は、実は試合そのものではない。TBSが元日の夜に恒例にしている『壮絶筋肉バトル!!スポーツマンNo.1決定戦』だ。
 野球、サッカー、アメフト、ラグビー、格闘技等々、各分野の一流のスポーツマンが集まり、ビーチフラッグスや跳び箱、インターバル走など、番組独自のさまざまな競技で競い合う。一種の運動会のようなものだが、長く続いているだけあって、よくできた番組だと思う(今回が28回目だそうだから正月以外にもやっているのだろうが、私はなぜか正月以外に見たことがない)。

 よくできている、という意味は2つある。
 ひとつは、構成の妙。パワー、スピード、アジリティ、持久力など、異なる能力が問われる競技を幅広く用意することで、出身スポーツによる有利不利が相殺され、総合得点が拮抗して、最後まで勝負への興味が持続するようになっている。
 逆に言えば、競技特性が明瞭に現れるところも面白い。野球選手の持久力、体操選手の瞬発力、アメフト選手のパワー。数年前に総合優勝したラグビーの大畑は、パワーとスピードを兼ね備えた圧倒的な身体能力を見せつけていた。あれを見て以来、私のラグビー選手に対する尊敬の度合はかなり高まった(サッカー選手の能力は、うまく発揮しづらいように見えるが)。

 もうひとつは、選手たちを乗せる力だ。
 この手の番組の成否は、参加者たちをどれだけ本気にさせられるかにかかっている。いい加減にふざけてやられたのでは、見ている方は面白くも何ともない。その点でも、この番組はうまくいっている。競技の内容が適度にシンプルで、参加者の能力がほぼ正当に反映されるという点で、彼らの競争心をうまくそそるようにデザインされているのだろう。
 特別企画として、ハンマー投げや砲丸投げの一流選手を集めて行われた「ガロンスロー(樽投げ)」の競技中に、室伏広治が「最初はみんな遊び半分だったけど、目の色が変わってきたでしょ」と笑っていた。
 ストイコビッチやジーコが周囲の人々に「ジャンケンでも負けるのを嫌がる」と言われていたのを思い出す。そうやってムキになることも、一流のスポーツ選手の才能のひとつなのかも知れない。だいたいがスポーツそのものも遊びの延長のようなものなのだから。大の大人が棒で球をひっぱたいたり蹴飛ばしたりすることに命をかける、ということ自体がすでに酔狂な話なのだ。

 スポーツ選手がタレントにいじられてヘラヘラと笑っている姿ばかりが目に付く正月の特別番組の中では特筆すべきことに、この番組には、競技への出場者とレポーター役のアナウンサー以外は一切出てこない。このストイックな姿勢はおそらく、番組を演出する上で、視聴者を競技そのものに集中させることがベストだと制作者たちが判断しているからに違いない。
 一方でこのテレビ局は、野球やサッカーの中継では、しばしば放送席にタレントを並べて無意味なコメントを求め、世界陸上では執拗に織田裕二を起用し続けている。本末転倒というか何というか…。

 いっそ一度、野球中継や世界陸上の放送も、筋肉バラエティのプロデューサーに任せてみてはどうだろうか?
 アナウンス原稿が大袈裟、やたらにCMまたぎを多用する、という点にさえ目をつぶれば、この手の番組の方が、よほどスポーツの醍醐味を伝える術を心得ている気がするのだが。
 (現実に両者の制作が別系統なのかどうかは、よく知りませんが)

 というわけで、今年も正月からスポーツ馬鹿です。

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コメント

あけましておめでとうございます。

今年も宜しくお願い致します。
そして、鉄流@愛ある一刀両断をお願い致します。

この筋肉・・・は、確か社員のアイディアから生まれた番組だと聞いたことがあります・・。
しかも当初は「絶対視聴率取れない!」って言われていたとかで・・・(違ってたらすみません)

でも面白いですよね!
参加者の鍛え抜かれた筋肉を見ているだけで清清しいというか、我が身が情けないというか(笑)

投稿: cimbombom | 2005/01/05 23:44

> cimbombomさん

あけましておめでとうございます。こちらこそ、よろしく。

>そして、鉄流@愛ある一刀両断をお願い致します。

うーん、自分の書いたものを読み返すと、どうも一部の弁護士は愛してないような気がします(笑)。あと高塚猛氏も(爆)。
ただ、選手や指導者ら現場の人たちに対しては、批判することはあっても、敬意は失いたくないと思っています。

>参加者の鍛え抜かれた筋肉を見ているだけで清清しいというか、
>我が身が情けないというか(笑)

その敬意の根拠がコレですね。百年鍛えても、私にはせいぜい跳び箱8段くらいしか跳べないと思う(笑)。
自らの肉体のパフォーマンスで大勢の人を(一時的にであれ)幸せにできるというのは、それだけで凄いことですよね。

投稿: 念仏の鉄 | 2005/01/06 03:00

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