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名球会に似合いそうな男。

 野茂が「日米通算200勝」に到達したらアップしようと思っていたが、なかなかしないので先に出してしまうことにする。しばらく留守にするので、待っていられなくなってしまった(笑)。

 野茂がMLBで次の1勝を挙げると、名球会入りの資格を得る。しかし、野茂がアメリカに渡った10年前には、そんなルールはなかった。
 プロ野球OBの親睦団体である「日本プロ野球名球会」は、従来は日本プロ野球での200勝もしくは2000本安打を入会資格としていた。今ではこれに「250セーブ」を加え、さらにいずれの数字も「日米通算」で可としている(それなら「100勝150セーブ」ではダメなのか?)。

 入会資格を変更したのは2003年オフのことだから、翌2004年にイチローの日米通算安打数が2000本を超えることを見越して手を打ったのだろう。これを機敏な反応と見るか、姑息なやり方と見るかは、見る側の好みによる。名球会の幹部が「イチローを入会させなければ会の値打ちが落ちる」と考えたのなら、その判断そのものは正しい。
 もちろん、入る入らないは最終的には本人の意思で決まる。有資格者の中では、榎本喜八、落合博満の2人が入会を拒んでいるという。また、江夏豊は昔は入会していたが、覚醒剤取締法違反の罪を犯すという不祥事によって会を退いたらしい。
 イチローは日米通算2000本安打を達成した時に、入会の意思を問われて殊勝なコメントをしていたが、野茂はどういう反応をするだろうか。

 ところで、私もWikipediaで名球会の項を開いてみるまで気づかなかったのだが、上記の資格変更によって、名球会はイチローや野茂の他にも大勢の入会資格者を生むことになった。「日米通算記録」でよいのなら、MLBで2000本打った後に日本でプレーした選手は、それだけで入会資格を得ることになるからだ。
 ウィキペディアに紹介されているMLB出身の有資格者は10人。いまだ現役のフリオ・フランコ(もはや「MLBのあぶさん」と呼びたい)も有資格者だし、かつて私がこよなく愛したロイ・ホワイト(今はヤンキースの一塁ベースコーチとして、出塁した松井と何事か話す姿がよくテレビに映っている)にも、ぜひ名球会入りしてONと旧交を温めて欲しいものだ(笑)。
 だが、たとえば日本で8セーブしか挙げていない(が日米通算では318セーブの)リッチ・ゴッセージが入会を希望したら、名球会は何と言って断るのだろう。制度というものは付け焼き刃で変更を行うと思わぬ副作用を招く、というよい例である。

 とはいうものの、この10人の中で、自分が有資格者だと知ったら本気で名球会入りを希望しそうなOBもいる。ウォーレン・クロマティだ。ジャイアンツ在籍時からハイテンションの明るさで人気のあった彼なら、ハワイあたりで会員たちがゴルフに興じるようなしょうもないテレビ番組(を今でもやっているのかどうかはよく知らないが)も大いに盛り上げてくれるに違いない。その点での貢献はまず期待できないイチローや野茂をはるかにしのぐ、貴重な新戦力だ。ぜひスカウトすべきではないか。

 ところで、この会の入会資格には「昭和生まれ」というのもある。確か昭和53年の結成当時は「昭和名球会」と名乗っていたはずだ。
 創設以来の会長である金田正一が、ジャイアンツでの後輩であった長嶋茂雄と王貞治を誘って作ったという経緯を思い出せば、生年に制限を設けている理由は想像がつく。たぶん金田は、2000本安打/200勝達成者である川上哲治、別所毅彦といった、うるさ型の年長者を排除して、自分がお山の大将でいたかったのだろう。
 そのくせ、佐々木やイチローや野茂を仲間に加えるためには、入会資格もどんどん変更する。まったくもって「政治的」である。アルヴァロさんのような若者が「脂っこい世界」と嫌悪感を示すのも当然だ。「青少年の健全な育成に貢献をしていきたい」という建前を述べる活動が、当の青少年からどう見えているか、そろそろ考え直してみた方がいい。若い世代の会員も増えてきたし、社会性にかけてはOBたちをはるかにしのぐ古田選手会長がせっかく入会してきたのだから、名球会の今後のあり方でも相談してみたらどうだろうか。

 「名球会はプロ野球で功なり名をとげた者の親ぼく団体にとどまらず、商品にシンボルマークをつけ販売するなど積極的な社会還元をめざしているのです。このような前向きの姿勢が、日本のプロ野球界をさらに大きく飛躍させる力となることでしょう。」(公式サイトの挨拶文から)

 いくらなんでも、ここまで能天気な感覚が通用する時代は、昭和の昔で終わっているのだから。


お知らせ:
冒頭にも書いたように、これから6月下旬まで海外出張に出ますので、しばらく更新はできません。皆様には7月初めごろに当blogを思い出していただければ幸いです。ちょうどワールドユースとコンフェデの期間に当たってしまいますが、行き先は一応ヨーロッパなので、コンフェデくらいはテレビ中継を見られるかも。

それはそれとして、戻ってくるまでに野茂が200勝していることを祈る。名球会入りなどはどうでもいいが、このまま6月も勝てなかったら、彼の現役生活そのものが危うくなってしまう。

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コメント

 鉄さんいってらっしゃい。

 ジーコJAPAN、勝ちましたね。
 ほんと、個の強さが際だった試合運びでした。危なげなく、とはとても言えませんが。

 当分更新はナシですか。楽しみが減りますなあ。
 でも、海外出張といえども、いまはネットに接続できさえすれば、少なくとも閲覧くらいは可能では?欧州の最近のネット事情がどうなっているのかわかりませんが。まさかパソコン持って行かないとか??

 ご主人不在の間に、常連さん?たちで、どんどんこのブログを盛り上げて、帰国したご主人をびっくりさせましょう!なんて。

 で、さっそく話題を振るわけなんですが、、、、
 鉄さんか常連さんか、もしこの書き込みを見たら、ぜひ教えていただきたいのが、欧州の野球事情ですね。
 (あんまり盛り上がるテーマじゃないかもしれません、ごめんなさい)

 イタリア、オランダ、フランスあたりはそこそこやっているんでしょうか。
 彼らのモチベーションは何なのか?五輪?メジャー行き?プロリーグ戦はあるのか?いずれ欧州出身選手が日本プロ野球で活躍する時代が来たりして。となると欧州名球会もあるのかなあ?(笑い)

 勉強不足にして、よく知りませんので、ぜひ、現地の様子をリポートお願いします!

投稿: penguin | 2005/06/11 01:21

人がいないと思って勝手なことを書いてるな(笑)。ここはもともと「盛り上がり」という言葉が似合わないblogだと思いますが(爆)。通信環境がイマイチなのでしょっちゅうは来られませんが、一応見ています。
私がいるのは欧州の外れで、野球などというものは誰も知らないと思うけど、それでもヤンキースの帽子かぶった人が結構いるのは凄い。世界中どこに行ってもNYマークの帽子を見るような気がします。欧州で野球が比較的盛んなのはイタリアとオランダかな。イタリアにはセミプロリーグがあると聞いた気もしますが、昔、阪神に若い選手が来たけどモノにならなかったですね。オランダ人では、ヤクルトにいたミューレンが五輪にも出ていました。

投稿: 念仏の鉄 | 2005/06/15 06:44

鉄さんお疲れです。
アクセスできるんですね。よかった。
(というか、荒らす?ことができなくなってしまった、とちと残念)
欧州のはずれって、微妙ですね。トルコかウクライナか、はたまたアイスランドか、、、

ミューレンはオランダ人ですか!知りませんでした。

欧州でNYYの帽子、、、、日本でオーストラリアのラグビーチームのTシャツを着るようなもんですかね?

6月の欧州、なんて旅のベストシーズンじゃないですか。どうぞお気をつけて。

投稿: penguin | 2005/06/15 18:09

>penguin君

無事戻りました。留守番をありがとう(笑)。
4か所ほど移動したのですが、本当に行く先々でヤンキースの帽子を売っていました。恐るべきマーケティング力だなあ。

>日本でオーストラリアのラグビーチームのTシャツを着るようなもんですかね?

いやいや、そのくらいはありうること。日本でもラグビーリーグはテレビ中継されるし、ワールドカップに立候補するような国なんだから。
欧州某国では、そもそも野球なんか誰も知らないのにNY帽だけが売られている。私が小学生の頃に突然アメフトグッズのブームが起こりましたが、そんな感じなのかな。

投稿: 念仏の鉄 | 2005/06/26 17:31

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