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This is the YAKYUU.

 小笠原のレフトフライに、三塁走者の松中がタッチアップして生還。日本に6点目が入った時のこと。JSPORTSの中継で解説をしていた斎藤明夫は「レフトは伸び上がってボールを取ってから送球モーションに入っている。日本の外野手のように取る前から助走をつけて投げれば、もっとギリギリのタイミングだった」と話した。中継の節丸裕一アナは「弘田コーチは、キューバの外野はうまくないと話していました」という。
 日本の巧い外野手は、三塁走者がタッチアップするケースでの飛球に対しては、ボールの落下地点の少し後方に構え、本塁方向に数歩走りながらボールをつかんで、その勢いを利用して強い送球を行う。この時のキューバの左翼手に、そういう動きはなかった。

 この話を聞いて思い出したのが、例のUSA戦での誤審だ。その夜のフジテレビ『すぽると』で高木豊がこう力説していた。
「西岡は、ウィンがボールを取る前から反動をつけ、体は本塁方向に体重移動しておいて、捕球した瞬間にベースから足を離した。この高度な走塁技術を球審は理解できずに、捕球前に西岡が動き出したのを見て『スタートを切った』と判断してしまったのではないか」

 キューバの選手を見ていると、自らの身体能力、運動能力に絶対的な自信を持っているのだろうと感じる。実際、彼らはバットが体に巻き付くようなフルスイングで鋭い打球を飛ばし、凄まじいファインプレーを見せる。6回、川崎が転がしたバントに猛ダッシュした三塁手エンリケスの守備など、超絶的といってよい。
 だからこそ、なのかも知れないが、彼らはしばしば雑なプレーも見せる。最終的にキューバを突き放した9回の大量点は、そのエンリケス三塁手が平凡なゴロの送球を誤ったことから始まった。キューバ最高の選手というべきグリエル二塁手ですら、準決勝では好プレーの後に気の抜けたエラーをしていた。

 MLBの野球も、プレーの基盤は身体能力の強さに置かれている。パワーピッチャー、ホームランバッターが好まれ、左右に単打を打ち分けるタイプの打者は、どんなに好成績を挙げても高く評価されにくい(イチローだけでなく伝統的にそういう傾向がある)。
 たしかスポーツ・ヤァ!だったと思うが、この大会が始まる前に、アメリカのスポーツ記者による大会予想が掲載されていた。日本への評価として一致していたのは「好投手が揃っているが、松井の不出場で打線がパワー不足」という見解だった。松井とイチローしか知らない奴らが何を言いやがる、今に見てろよと思ったが、確かに日本人のパワーは、明らかにUSAやラテンアメリカの選手たちよりも劣っている。同じ東アジアの韓国人にも劣っているかも知れない。

 野球のグラウンドは、外野フェンスまでの距離は千差万別だが、ダイヤモンドのサイズは厳密に決まっている。三塁や遊撃の定位置から、膝をついたり寝ころんだまま送球しても一塁に届くような腕の持ち主たちがプレーするために作られた四角形をそのまま使ってプレーすることは、小柄な日本人にとっては、いささか無理のある条件なのかも知れない。
 だからこそ、日本野球は、長年にわたって身体能力の不足を補うための精妙な技術を磨き上げてきた。その集積が、西岡のタッチアップであり、外野手の助走つき送球であり、川崎の絶妙なベースタッチなのだろうと思う。

 「スモールボール」などという借り物の言葉を使うまでもなく、日本人にとっての「野球」とは、そういうものだったはずだ。そして、その精妙な技術が、そして一投一打に集中する姿勢が、パワーとスピードに勝るキューバを突き放した。
 もちろん勝負は時の運だ。次にやる時には、たとえばドミニカあたりの馬鹿馬鹿しいほどのパワーの前に屈することもあるだろう。パワーのベースボールと精密な野球、あるいは他の地域から生まれてくる違うスタイルどうしがぶつかり合い、勝ったり負けたりしながら、BASEBALLは進んでいく。どちらが正しいというわけでもなく、それぞれの地域にそれぞれのスタイルがあり、それぞれが「本場」なのだ。そういうことが、この大会を通じて、はっきりしてきたように思う。

 ところで、皆さんはこの大会で日本が最初に挙げた得点をご記憶だろうか。
 3月3日、東京ドームで行われた日本-中国戦の二回表、ライト線二塁打で出塁した松中は、多村のピッチャーゴロで三塁に進み、岩村のレフトフライでタッチアップしてホームインした。試合後のお立ち台では「皆さんあまり知らないでしょうが、走り出せば結構速いんです」と胸を張っていた。
 そして、この大会で日本が最後に挙げた得点、キューバから奪った10点目もまた、小笠原のさほど深くないライトフライで三塁から突入した松中が踏んだものだった。WBCにおける日本の攻撃は、松中のスライディングに始まり、松中のスライディングに終わったのだ。

 10年前のアトランタ五輪決勝で、満塁ホームランを打ちながら敗れた松中は、この大会に四番DHで8試合にフル出場し、つなぐ打撃と懸命の走塁に徹して、1本のホームランを打つこともないまま、キューバを倒しチームを世界一に導いた(11得点はチーム最多。イチローよりも西岡よりも多い)。準決勝で代打決勝2ランを放った福留は「松中さんのヘッドスライディングに感動した」と話したが、なにもその場面だけでなく、松中は、大会が始まってから終わるまで、故障がちな足をかばうことなく、懸命に走り続けていた。

 守備につくことはなかったけれど、こと打撃面においては、日本野球のスタイルを牽引し、最後まで貫いた最大の功労者は松中信彦だったと私は思っている。おそらくは最も強く「王監督を世界一にする」という気持ちを持ち続けた男が、結局はそれを実現した。

注)
試合の事実関係、記録等を数箇所、訂正しました。(2006.3.21 23:10)

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コメント

細かい事になりますが、
"6回、金城が転がしたバントに猛ダッシュした三塁手エンリケスの守備"
というのは9回、川崎のバントでッファーストランナー金城をセカンドでアウトにしたプレーのことですよね。

投稿: ROM男 | 2006/03/21 19:48

別にソフトバンクファンではありませんが、松中がダッシュするのを見るたびにハラハラしました。しかし、当人はお構い無しの全力疾走でしたね。
野球にほとんど興味が無く、WBCのシステムはよくわかりませんが、高額な年俸をフイにするリスクを冒すだけの見返りがあるとも思えません。
よくわかりませんが、感動したのは事実です。

投稿: にゃん | 2006/03/21 20:28

あぁもうひたすら嬉しいです。
胴上げされる王監督の、あんな嬉しそうなお顔。よくぞよくぞ、ここまで(涙、涙)。嬉しい~。

日本代表30人のうち、ロッテが8人、ソフトバンクが5人。「世界一」を達成したのは「ロッテ・ソフトバンク連合軍であった!」と言えるのではないでしょうか。30人のうち18人がパ・リーグですし。長年のパ・リーグファンとしては溜飲が下がる思いです。(パの好選手がたくさん注目されたのも嬉しいですし。)
もちろん王監督の追求する野球にふさわしい選手を集めたらこうなったということなのでしょうが、有り余る戦力を持ちながらたった一人しか選手を出さなかった某球団には言いたいですね。「いやぁ、実力順に選んだらこうなっただけですよ~ん(笑)。」

それにしても。「世界一へのプレッシャー」に襲われた「魔の7回」。川崎が、渡辺が、信じられないエラーをする。それを零点でしのぐことができたのは、やはりこのチームの強さなのでしょう。6-4-3のダブルプレイで切り抜けたときも、川崎がまたもファンブルしてましたもんね!ただファンブルした方向が良かった。本当に「紙一重」の勝負のアヤを痛感した瞬間でした。

投稿: 馬場 | 2006/03/21 23:22

>ROM男さん
>"6回、金城が転がしたバントに猛ダッシュした三塁手エンリケスの守備"
>というのは9回、川崎のバントでッファーストランナー金城をセカンドでアウトにしたプレーのことですよね。

いえ、私が考えていたのは6回の川崎のセーフティバントを一塁に刺したプレーです。9回の方は、中継画面ではどのくらいの距離を走ってきたのかはっきりわからないのですが、おそらくバントシフトを敷いてあらかじめダッシュしたのではないでしょうか。
いずれにしても間違っていたので、修正しました。

>にゃんさん
>高額な年俸をフイにするリスクを冒すだけの見返りがあるとも思えません。

そもそも、球を投げたり、それを棒でひっぱたくことに人生を賭けること自体が大人げないわけで、強い奴と戦ってるうちに後先考えずにムキになるというのもまたスポーツマンの本能なのだろうと思います。「見返り」を計算した選手は、最初からその場にはいないわけですし。
もちろん、足の状態が悪かったら、ああいう走り方はしないと思いますが。

投稿: 念仏の鉄 | 2006/03/21 23:25

今日は都内某所のイベントに仕事で参加せざるをえず、生観戦はかなわなかったのですが、かわりにおもしろい光景が見れました。

そのイベントは野球とは無縁のイベントだったのですが、そのシンポジウムの最中にWBCの速報が入るのですよ。人が来て司会者に紙を渡すのです。そして司会者がそれを読みあげる。そうすると会場からは自然と「おー」という歓声があがったり、「ええー」という不安の声があがったりしていました。9回表に4点を追加したという速報が読みあげられたときは、会場から拍手が起こっていました。まるでワールドカップのようでした。ちょっと泣きそうになったのは秘密です(笑)

投稿: E-Sasa | 2006/03/21 23:55

>馬場さん
>「いやぁ、実力順に選んだらこうなっただけですよ~ん(笑)。」

実際その通りです。阿部が故障で辞退、アテネ五輪の予選や本大会に出場した選手も、上原以外は全員故障上がりですから仕方ありませんね。

>E-Sasaさん
それは落ち着かない一日でしたね(笑)。福留は今日もやりました。

投稿: 念仏の鉄 | 2006/03/22 00:00

はじめまして。いつも楽しく拝見
しておりますヤクルトファンです。

日本勝って最高にうれしいです!
イチローの最終回のタイムリーは
イチローのすごさが凝縮されて
いましたね。

もちろん不満な点もありました。
韓国戦、先頭打者の青木が初球
をピッチャーゴロ。アウトはいいに
してももう少し粘って欲しかった。
あと、ワンアウト一、三塁で西岡の
サードライナーゲッツー。極端な話
あの場面は当たってるイチローに
つなぐのが仕事なので、三振でも
良かったし、足が早いのだから転
がして欲しかった。
西岡の若さが出たのかなと思いました。

長くなってしまいすみません。
ホント優勝よかったです!

また遊びにきます。失礼いたしました。

投稿: yoshi | 2006/03/22 00:49

>yoshiさん
いらっしゃい。

>イチローのすごさが凝縮されて
>いましたね。

大会が始まって、特にアメリカに移ってから
尻上がりに調子を上げていったし、
日本代表全体も同じカーブを描いていましたね。

ヤクルトファンには我慢続きの大会だったような気もしますが、
岩村のケガもあまり重くないようだし、
宮本は裏でずいぶん頑張ってたようだし、
終わりよければすべてよし、ですね。
青木は出番に恵まれませんでしたが、
いきなり200本も打った翌年としては、
よい刺激になったのではないかと思います。

投稿: 念仏の鉄 | 2006/03/22 07:58

日本―キューバ戦の視聴率は43.4%(関東地区)。瞬間最高視聴率は日本が優勝を決めた直後の56.0%(同)でした。
WBCがこのような「お化けコンテンツ」に化けたことで、今大会はビジネスとしては大成功と言えるでしょう。で、次回WBCには日本の放送局が大枚をはたくことになるのでしょうから、NPBは大スポンサーの威光を生かして、大会運営の改善をMLBに対して大いに物申してほしいものです。

投稿: 馬場 | 2006/03/22 13:36

こんにちは。
以前のエントリーにもありましたが自分も今大会に臨む王監督の決意に心を熱くしていま
した。
自身プロチームの監督でありながら国の代表として率いるリスクを言葉にせず、ただ寡黙に
引き受けた姿は、今の野球界の状況を一身で背負っているように感じ、結果を問わず応援し
ようという気にさせられました。
それが最高の結果を残した事で、監督はじめ関わった全ての人に素直に感謝したい。
ある意味今までの日本の野球界は国の威信をかけた、という程の体制で国際大会に挑んだ
ことがなかったように思います。どこか必ず言い訳じみた余地を残す、そういった姿勢を感
じていました。しかし、今回の代表は先程とも重複しますが、滅私というか国の代表として
の気概を強く感じました。結果も勿論ですが、その姿勢が多くの人の心を掴んだのではと、
思います。
逆に、これも以前のエントリーにもありましたが、一部選手に対しても今回出場してもらい
たかった。彼らが背負うものは自分などに分かりようのないものかも知れないけど、特に今回、
第一回の代表のもつ意義を監督ははっきり自覚されていたと思いますし、その監督の思いに
同調してもらいたかった。

投稿: hide | 2006/03/22 18:02

>hideさん
こんにちは。
王監督の揺るぎなさ、迷いのなさは大会を通じて見事でした。イチローが王さんの「野球人としての品格」を讚えていましたが、判定トラブルへの態度を含めて、まさにそういう部分がチームを支えていたのだと思います。

参加しなかった選手については、大会前にはずいぶん批判的なことを書きましたが、今は特に言おうとは思いません。逃したものの重さは、今となっては彼ら自身の方がよくわかっているでしょうから。

投稿: 念仏の鉄 | 2006/03/23 00:51

いつもながら、一味違った切り口でのエントリーに敬服いたしました。
試合を終えたキューバとしては、打ち込まれたという感もなくリードされて、追いつきかけたとたんに、再び打ち込まれてもいないのにするすると逃げられてしまったという感じでしょうか。決勝戦を通じて、キューバを力ずくでねじ伏せたのは、松坂大輔だけだったように思います。そういった意味では、この決勝戦は、ベースボールと異なる日本の野球の個性が際立って出た試合だったと思います。しかし、この「野球」の個性が、ベースボールの国でどの程度評価を受けたかは疑問も感じます。松坂のMVPはその証拠で、やはりベースボールの国では松坂大輔の野球が最も理解し易かったのではないでしょうか(もちろん松坂も凄かったとは思いますが……)

投稿: 考える木 | 2006/03/23 01:03

鉄さん、常連のみなさん、おめでとうございます。
僕ももちろん嬉しいですが、「普段は野球を見なくなってしまった層」の一人です。何だか移り気な「無党派」みたいで、ちょっと気恥ずかしいですが、嬉しい気持ちは同じです。前評判との落差が大きすぎた冬季五輪の直後だけに、よけいに、日本人みんなが、快哉を叫んだのではないでしょうか。

ベースボールとヤキュウ、、、。
まるで、サッカーに(かつて?)南米スタイルと欧州スタイルがある(あった?)がごとく、「ヤキュウ」スタイルが、グローバルスタンダードとして、世界に広まればいいですね!

で、次の大会の開催地なんですが、、、、前回大会の優勝国でやる、という話も出ているようですが、それもまたよし、ですね。日本はファンも多いし、興行的にも成功するのではないでしょうか。
(ところで、サッカーのW杯は、なぜ、サッカー発祥の地イングランドではなく、第一回がウルグアイだったんでしょうか?)

投稿: penguin | 2006/03/23 03:20

初めまして。

出場を辞退した選手について一言。

彼らは今季ベストなプレーをすることを前提として球団と契約を結んでいると思います。
WBC出場が、契約しているチームでのプレーに支障をきたす可能性があるのなら(まず間違いなく有るでしょう)辞退するのがプロとして当然ではないでしょうか。

彼らはプロ、「仕事」で野球をしているのです。仕事において、義理や人情や夢やらを契約よりも優先するのは褒められたことではないと思いますが。

投稿: マリナーズのオーナーは日本人 | 2006/03/23 03:53

とにかくよかったです。

個人的には松中の激走が一番印象に残りました。川崎の「神の右手」も・・・。松中選手が足でもぎ取ったベース、得点がありました。川崎もシーズン中では考えられないようなミスを2連発し、そのいずれもキューバの追加点に絡んでいましたから、相当気になっていたと思います。あのベースタッチがそれらを帳消しにしました。もう一つセンター前ヒットをベースの後方でダイビングキャッチし、その後の送球も早くて正確でした。

マリナーズのオーナーは日本人さんの
「契約優先は当然」という立場もわかりますが、それはWBCという大会が認知されていないことの証明でもあります。FIFAワールドカップのように、出場することが海外移籍の機会を広げる意味で代表に選ばれたいというモチベーションは沸いてこないですし。

それに日本の野球はアマチュアとプロで組織が二重化しているので、サッカーのようにJFA傘下にJリーグがあるような階層構造でない分バックアップが中途半端になっているようですから、選手も参加のメリットを感じられなくてもしょうがないです。

プロ選手は契約に従うべきというより、自分にとって最良と思われる選択をするのがプロであり、ナショナルチーム参加にメリットがあると思ったイチローと大塚は参加して、そう思わなかった井口と松井秀喜は辞退した、それ岳だと思います(もちろんそれはNPBの選手にも当てはまります)。Yankeesも結果的にAロッドやジーターがWBCのUSA代表として参加しましたから、結局は本人の意思が最優先され、オーナーの意向は無視してもよかったわけです。松井秀喜の場合はいろいろ他の事情もあるような報道されていますが、ウラを取れているわけではないので、それには言及しませんが。

あと代表メンバーが試合で負傷した場合の補償については、サッカーでは欧州クラブがFIFAを相手に裁判を起こしている状況があるので、明確でないと選手も参加しにくいのではないかと思います。そういう環境整備も含めて今後の課題だろうと思います。

投稿: エムナカ | 2006/03/23 06:13

>馬場さん
日本は今大会すでに相当な金額をふっかけられたようでもあります。
アジアラウンドが不入りだった大きな原因のひとつはチケットが高額すぎたことですが、そもそもWBCIからの仕入れ値が高すぎた、とスポーツ報知が書いていました(主催者のグループ企業だけに言い訳じみてましたが(笑))。しかも配分金は少ない。
イチローが言う「3年間で解決」するためには、まずNPBが交渉力のある組織を整備することが必要ですね。

>考える木さん
>いつもながら、一味違った切り口でのエントリーに敬服いたしました。

昨日、職場の同僚が新聞を読みながら「『ヤキュウがベースボールに勝った』というのは紋切り型だよな」と言ってて、ドキッとしました(笑)。ま、アメリカの新聞が全部書いてくるだろうと思ってつけたタイトルではありますが。

>松坂のMVPはその証拠で、やはりベースボールの国では松坂大輔の野球が最も理解し易かったのではないでしょうか(もちろん松坂も凄かったとは思いますが……)

同感です。その意味では渡辺俊介がどう言われているか気になりますね。

>penguinさん
>で、次の大会の開催地なんですが、、、、前回大会の優勝国でやる、という話も出ているようですが、それもまたよし、ですね。日本はファンも多いし、興行的にも成功するのではないでしょうか。

いずれそうなればいいとは思いますが、もっと大会の権威が確立してからでないと難しいかも知れません。参加国や二次リーグ進出国の顔触れを見ると、質量ともに大会の中心は北中米にあるので、そこからあまり遠くに離れるのは、なかなか困難だろうという気はします。いつか、やってほしいですけどね。

>(ところで、サッカーのW杯は、なぜ、サッカー発祥の地イングランドではなく、第一回がウルグアイだったんでしょうか?)

第1回の開催地に立候補したのは5か国で、他の4か国はヨーロッパでしたが、ウルグアイは参加国の旅費・滞在費丸抱えという破格の条件を出して最初の開催国の座をもぎとりました。とはいえ船で三週間もかかる距離だったので欧州諸国は消極的で、参加は4か国にとどまりました。イングランドはこの時期FIFAを脱退していたので、そもそも参加資格もなかったようです。

>マリナーズのオーナーは日本人さん
>エムナカさん
こんにちは。
契約を尊重すべき、というのは正論です。その意味で辞退した選手にも理はあります。

ただし、この大会は彼らが契約している球団、その球団が参画しているプロ野球リーグと無関係に開催されているわけではありません。実質的にMLBとMLB選手会が主催し、NPBも参画している大会です。選手の契約相手である球団は、選手がWBCに出場することに原則として同意しています。
ですから、「辞退して当然」であるとまでは言えないと思います。

さらに踏み込んで言えば、現在、日本のプロ野球は構造的にさまざまな問題を抱え、興行としての人気は伸び悩み、スポーツとしての裾野も狭まりつつあります。
そういう状況の中では、野球そのものを振興する活動に、選手が参加することも必要になってきます。「契約するチームでのプレー」がどれほど素晴らしくても、それを見に来る人が減ってしまっては意味が薄れてしまいます。
ですから、選手がWBCに出場することは、「義理や人情や夢やら」のためではなく、野球そのものを建て直す作業なのだと私は認識しています。
乗っている船が沈みかけた時には、持ち場を離れて危機回避に努めるのも、立派な「仕事」だと思います。チームはあくまでリーグの一部なのですから。

もちろん、いずれは契約の中にWBC出場もきちんと位置づけられるべきですし、エムナカさんの言うような負傷に対する補償も整備されるべきでしょうし、逆に、NPBが「義理や人情や夢やら」の美辞麗句を強調して環境の整備を怠るようであれば、そこは批判されるべきでしょう。

選手の辞退については、22日付の東京中日スポーツに福留の手記があり、その中で、一度出場を辞退したことについて詳しい説明がありました。
「まずは新フォームにトライしていたということ。そして、ポジションへの不安でした。」
ライトはイチロー、松井はヤンキースでセンターへのコンバート案があり、この2人のレギュラーはほぼ間違いないとなると、
「ボクは参加しても左翼か控え。選手として、そのリスクはなかなか負えないものです。」
「選手が3月にチームを離れるというのは相当なリスクです。投手は使用球が違う。野手は打ち込みや調整での打席の絶対数がまったく足りない。特にベンチを温めた選手は、帰国後に相当なギャップがあるのは間違いない。代表という誇り、名誉を得るのと同時に、競技者としては覚悟の求められる選択なのです。」
この新聞は中日の選手の出場辞退を賛美していたこともあるので、これほど詳しく説明されているのは、記者及び社の考えも加味されてのことだと思います。とはいえ説得力のある話ですし、こういう問題をどう解消するか(完全には無理にせよ、どう負担を軽減するか)は北京五輪や次回WBCへの課題になると思います。以前も書きましたが、代表選手の中に「控えのスペシャリスト」を加えることもひとつの方法です。

投稿: 念仏の鉄 | 2006/03/23 10:03

韓国野球委員会(KBO)の辛相佑総裁は22日、平和放送のラジオ番組に出演し、今年10月以降に韓日野球国家代表チームの再戦を行いたいと語った。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/03/22/20060322000071.html

と、いう話が出ています。韓国側から正式に打診があれば、NPBも真面目に検討しないわけにはいかないでしょうね。
一「見物人」としては、ぜひ、また因縁の日韓対決が見たいです。日韓ダービーが恒例化してほしいくらいです。日韓定期戦で国際試合に慣れることによって次期WBCに向けてのレベルアップにもなるし。
ただ、問題はアジアシリーズと興行的にカブることですよね…。

投稿: 馬場 | 2006/03/23 13:01

所属球団とその球団のファンという閉じられた集団ばかりに眼を向けるよりも、プロ野球リーグの新たな市場の開拓に眼を向けるという意味では、WBCはNPBにとって絶好のプロモーション機会だったと思いますし、今回の日本の優勝でそのような流れが起こってきていることを大変喜ばしく感じています。
さらに言うならば、一般論として、良い仕事をしようと思うならば、気持ちを積極的に仕事に向かわそうとするモチベーションを保つことが大切だと思います。
すでにプロの中で自分の地位を確立した一流プレーヤーたちにとって、期待されている仕事をこなすということだけでは、なかなか良いプレーへのモチベーションに成り難い面もあるのではないでしょうか。彼らにとってはメジャーへの挑戦であるとかと同じく、WBCでの達成感、あるいは日本での反響の大きさは新たなモチベーションに成り得るものだと考えます。

選手の保障面の確立という点では、NPBにリーグとしての財源がどうしても必要だと思います。MLBのように放映権料をはじめとした巨額な財源を確保することは困難だとしても、今のNPBにはリーグを経営していく財源があまりに少なすぎると思います。経営者としてのコミッショナーの地位の確立ということがもちろん前提となりますが、根来氏ではねぇ……(苦笑)。

投稿: 考える木 | 2006/03/23 19:23

レスありがとう御座います。

エムナカさんへ
>プロ選手は契約に従うべきというより、自分にとって最良と思われる選択をするのがプロであり

そうでしょうか。私は「自分にとって」では無く、「契約を交わした球団にとって」最良の選択をするのがプロとして誠実な態度であると考えます。
自分の応援しているチームの選手が、チームに迷惑を掛けても「自分にとって最良と思われる選択をする」のを許すオーナーやファンは余りいないと思います。

>Yankeesも結果的にAロッドやジーターがWBCのUSA代表として参加しましたから、結局は本人の意思が最優先され、オーナーの意向は無視してもよかったわけです。

残念ながらまったくそうは思いません。この二名はアメリカ代表に対するヤンキースのノルマであると思います。MLBに一員である以上、流石にこれは断れないでしょう。しかし、ドミニカ代表資格もあるA・ロッドがアメリカ代表で出るあたりを見ても、オーナーの意向はきっちり反映されていると思います。

MLB優勝を目指すチームに属する松井、井口と二年連続最下位、今年も優勝争いの蚊帳の外と見られているチームに属し、なおかつオーナーが日本人であるイチローでは条件が余りにも違います。

念仏の鉄さんへ

>選手の契約相手である球団は、選手がWBCに出場することに原則として同意しています。

もちろん出ようと思えば理論上は出れます。何処かのサッカー選手は、チームの危機を放ったらかしてカーニバルのためにブラジルに帰国してしまったくらいですから(カーニバルのための帰国を許す契約になっていたそうです)。でも、ファンはその選手を許しませんでした。
アメリカでのWBCの権威の低さを考えれば、選手に選択の余地はほとんどないと思います。

>現在、日本のプロ野球は構造的にさまざまな問題を抱え、興行としての人気は伸び悩み、スポーツとしての裾野も狭まりつつあります。

NPBに属してもいない選手に、NPBのために何とかしてくれと求めることは「義理や人情」に頼ることそのものではないでしょうか。

現時点では、MLB所属の日本人選手がWBCに参加する環境はまったく出来ていません。また、WBCがMLB主導なのも当分変わらないでしょうから、NPBに出来ることも残念ながら限られています。今回に限らず、今後もMLB所属選手の出場辞退は続くと覚悟する必要があるのではないでしょうか。

出てくれる選手に感謝するのは良いことでしょうが、出ない選手への批判は慎むべきだと思います。(そうは言っても無理でしょうが)

投稿: マリナーズのオーナーは日本人 | 2006/03/24 02:34

>馬場さん
日韓定期戦、昔はサッカーにもありましたね。
確かに興味深い話ではあるのですが、日本代表チームが恒常的に活動するだけの基盤がない現状では、なかなか難しいでしょうね。実現させたとしても、1試合だけの寄せ集めチームにならざるを得ないし、WBCで見せたような真剣勝負にもなりにくいでしょう(韓国側はものすごく本気で来るかも知れませんが)。
アジアシリーズ自体が、まだ始まったばかりで定着途上なのだから、その情念をアジアシリーズにぶつけてもらう方が建設的な気がします。どうせ来年には北京五輪の予選で戦うことになるでしょうし。

>ただ、問題はアジアシリーズと興行的にカブることですよね…。

これが定例化するとオフの催しが組みにくくなりますね。日米野球なんかどうするんだろうか。

>考える木さん
>今のNPBにはリーグを経営していく財源があまりに少なすぎると思います。

財源もそうですし、組織としても無力すぎる。ここも大きなボトルネックですね。孫オーナーはこういうところにもお大尽ぶりを発揮していただけるとよいのですが。


>マリナーズのオーナーは日本人さん

MLB所属選手に限定したお話だったのなら、最初からそう書いていただけるとありがたいです。
このエントリで私は辞退選手については触れていませんし、過去にこのblogで辞退を批判してきたのは、主にNPB所属選手に対してでしたので、前回のレスはその線に沿って書いています。従ってあまり話が噛み合っていません(笑)。
blog主の考えを批判する(と思われる)コメントをいただく場合には、どの文章に対する批判なのかわかるように書いていただくと助かります。

あなたの結論である、

>出てくれる選手に感謝するのは良いことでしょうが、出ない選手への批判は慎むべきだと思います。

という考えには、おおむね同感です。しかし、一切の批判を慎むべきだとは思いません。
プロスポーツ選手は、チームとの契約に対して責任を負っていますが、そのほかにもさまざまなレベルでの責任を負っているはずです。そのレベルに応じた節度ある批判であれば、慎まなければならない理由はないと私は思います。

エムナカさんへのコメントに松井と井口の名を挙げておられますので、それぞれに対する私見を記しておきます。
松井が辞退を決めた際に立てたエントリでは、私は本人については「残念だ」と書き、主にヤンキースを批判しています(松井のこれまでのプロ野球選手としてのスタンスからすれば、出場するのが自然なことだったと、今でも思っていますが)。
井口に関しては少々事情が異なります。彼が「ファンのために」という建前を掲げた2004年のNPBストライキに参加した、高塚猛元球団代表との個人的な密約によって抜け駆け的にMLB行きを実現した、という2つの理由から、彼は日本のファンに対して道義的な負債を抱えていると私は思っています。その負債を返済する絶好の機会を見送り、しかも一度は承諾した約束を翻したのですから、彼の不参加には納得していません。

>もちろん出ようと思えば理論上は出れます。何処かのサッカー選手は、チームの危機を放ったらかしてカーニバルのためにブラジルに帰国してしまったくらいですから(カーニバルのための帰国を許す契約になっていたそうです)。でも、ファンはその選手を許しませんでした。

あなたは最初の書き込みでは契約を根拠に「辞退するのがプロとして当然」と書いておられました。ファンの意向を持ちだされるのは、いささか筋が違います。

それはそれとして、ファンの意向を根拠に論じるのであれば、例えばヤンキースのファンはニューヨーカーだけではありません。日本から訪れる観戦客の数、彼らが買っていくグッズ類の売上げ、日本から得られる放映権料、いずれも無視できないでしょうし、そうであれば日本のファンの意向だけを無視してよいということにはなりません。
あなたが書かれたように、ヤンキースが「アメリカ代表に対するノルマ」を果たす気があるのなら、日本代表に対するノルマも果たせ、と日本のファンが主張するのは当然です。
(ところで、ニューヨークのヤンキースファンやシカゴのホワイトソックスファンが、松井や井口のWBC出場に反対を表明したのですか? それなら彼らの決断への私の考えも違ってきますので、ご存知なら教えてください)

ちなみにイタリアのサッカークラブにとって、2月下旬は国内リーグの優勝争いが佳境に入る大事な時期です(CL出場クラブなら、そちらも佳境です)。その時期に公式戦を休んでサッカーとは何の関係もないカーニバルに行くことと、公式戦が始まる前にMLBが認めたWBCに出場することを比較するのは、適切ではないと思います。

>アメリカでのWBCの権威の低さを考えれば、選手に選択の余地はほとんどないと思います。

WBC全体で見れば、ものすごく大勢のMLB所属選手が出場していますので、このような一般化した表現は妥当ではないと思います。ヤンキースのように特殊事情があるチームはともかく、他のチームでは、選手自身の選択によって参加不参加が決まったケースも多いのではないでしょうか。オーナーの意向もそれぞれ異なるでしょうし。

>NPBに属してもいない選手に、NPBのために何とかしてくれと求めることは「義理や人情」に頼ることそのものではないでしょうか。

冒頭にも申し上げたように、選手が負っている責任とは、球団との契約だけがすべてではないと思います。
前のコメントで私が「日本のプロ野球」ではなく「日本の野球」と書けばよかったのですが、松井や井口は、現在MLB球団と契約しているからといって、日本の野球との関係が消滅したわけではなく、広い意味ではその一員であるはずです。
そもそもプロ野球じたいが、あなたが「義理や人情や夢やら」という表現で斬り捨てようとしている人間の情緒に訴えることで成立している産業なのですから。

あなたはおそらく、彼らが責任を負うべき契約を無視した感情的非難に対して異議を唱えたいのでしょうけれども、そのために契約以外のすべてを斬り捨てるような言い方もまたバランスの悪いものだと思います(そもそもこのblogでは私自身も、コメントをくださる方の大半も、そのような感情的非難をしてはいないし、好んでもいないと思うのですが)。

>現時点では、MLB所属の日本人選手がWBCに参加する環境はまったく出来ていません。また、WBCがMLB主導なのも当分変わらないでしょうから、NPBに出来ることも残念ながら限られています。今回に限らず、今後もMLB所属選手の出場辞退は続くと覚悟する必要があるのではないでしょうか。

その通りだと思います。しかし、だから「辞退するのがプロとして当然」とは思いません(こればっかりですが(笑))。
NPBはもちろんのこと、MLB所属選手にも、環境を整えるためにできることをしていってもらいたいと思います。できることは限られてはいますがゼロではないのですから。
松井も井口もWBCに参加したい気持ちがありながら断念したことは明らかです。3年後の自分、あるいは後輩たちが同じジレンマに苦しむことは望まないと思いますよ。

MLBからWBCに出場した選手たちは、それぞれのチームに帰ってから、いろんな形でその経験を語るでしょう(田口壮オフィシャルサイトでは、プホルスらが大興奮して楽しげに語りまくる様子が記されています)。第1回WBCがMLBに何をもたらし、どう変えたのか(あるいは変えないのか)、評価が定まるには時間がかかります。第2回への態度も変わってくるでしょう。
そういう段階で、将来を諦める必要はないと私は思っています。いきなり理想的な状態にはならなくとも、2回目はもう少しましになる可能性があるのですから。

投稿: 念仏の鉄 | 2006/03/24 10:00

>従ってあまり話が噛み合っていません(笑)。

その通りです。申し訳ありません。

>ファンの意向を持ちだされるのは、いささか筋が違います。

契約上認められている行為であっても世論に反しては行いがたいと言うことです。まして、契約した球団の利益に反する可能性が高く、世論の支持も無い行為を選択するのは至難のことなのでは。

>公式戦を休んでサッカーとは何の関係もないカーニバルに行くことと、公式戦が始まる前にMLBが認めたWBCに出場することを比較するのは、適切ではないと思います。

この二つは、当人にとっては重要らしいが他人からはその価値が理解しがたいものとして比較可能だと思います。
そもそも、そんな契約を結んだくらいですから、その選手にとってはカーニバルは非常に重要なものだったのでしょう。私たちには、その価値はわかりませんが。
普通のアメリカ人が、WBCの価値をカーニバル以上に評価してくれるのかどうか、私には疑問です。契約した球団に迷惑を掛けてまで、参加する価値があると思ってくれているとは余り思えません。

>そもそもプロ野球じたいが、あなたが「義理や人情や夢やら」という表現で斬り捨てようとしている人間の情緒に訴えることで成立している産業なのですから。

それはまったくその通りです。しかし、訴えかけるべき対象は国ごと、チームごとに違っています。「俺たちのMLB優勝の夢はどうしてくれるんだ」と言われたら、私には返答のしようもありません。

>そういう段階で、将来を諦める必要はないと私は思っています。いきなり理想的な状態にはならなくとも、2回目はもう少しましになる可能性があるのですから。

そうであって欲しいと私も思います。ただ、WBCは、MBLはMBLの都合で開催し、NPBはNPBの思惑で参加した同床異夢なイベントです。私たちにとっての「少しまし」と彼らにとっての「少しまし」が違っている可能性も結構あるでしょう。その辺少し気がかりではあります。

投稿: マリナーズのオーナーは日本人 | 2006/03/25 03:03

>マリナーズのオーナーは日本人さん

>>従ってあまり話が噛み合っていません(笑)。
>
>その通りです。申し訳ありません。

ご理解いただいてありがとうございます。

いろいろ議論してきましたが、あなたのコメントの中で、私がもっとも理解しづらいのは、以下のようなくだりです。

>契約した球団の利益に反する可能性が高く、世論の支持も無い行為を選択するのは至難のことなのでは。

>普通のアメリカ人が、WBCの価値をカーニバル以上に評価してくれるのかどうか、私には疑問です。契約した球団に迷惑を掛けてまで、参加する価値があると思ってくれているとは余り思えません。

あなたはUSAの世論が、日本人MLB選手のWBC出場に反対している、と確信を持っておられるようですが、その根拠はどこにあるのですか?
前のコメントにも書きましたが、ヤンキースファンが松井のWBC出場に反対しているという事実(あるいは他のチームでも、WBCに出場した選手をファンが非難したという事実)があるのなら、ぜひ教えてください。これはレトリックで書いているのではなく、本当に知りたいと思っています。それがヤンキースファンの多数意見だというのであれば、私は自分の考えを見直さなければなりません。

私が把握している限りでは、「普通のアメリカ人」のWBCへの態度は「無関心」です。シーズンへの悪影響に対する懸念はあるかも知れませんが、出場した選手が故障なくチームに合流し、力量に見合う成績を残せば、忘れられてしまう程度の懸念でしょう。
「契約した球団に迷惑を掛けてまで、参加する価値があると思ってくれているとは余り思えません。」というのが正しいのであれば、論理的には彼らは「迷惑が無視できるほど小さいものであれば、参加しても構わない」と思っていることになります。

もちろん出場することにリスクはあります。しかし、あらゆるリスクを避けなければならないというのであれば、選手はオフシーズンに車の運転をすることさえできなくなります。リスクをすべて等価とみなすのではなく、リスクの大きさに応じて語らなければ、議論として意味のあるものにはなりづらいと思います。

あなたが例にあげているサッカー選手のカーニバル行きは、MLBで例えるなら、「日本人選手が8月中旬に故郷のお祭りを見物するために公式戦を欠場する」行為に匹敵します。WBCに出場することが、これと同等の迷惑であるとは私には思えません。カーニバルのために試合を欠場する行為は実体としての「迷惑」ですが、WBC出場による「迷惑」は可能性の中の存在でしかありません。
それでもアメリカ人がこの2つを等価と見做している、とあなたが考える根拠は何なのでしょうか。
(以上の議論はもっぱらリスクの観点から論じていますが、実際にはWBC出場から有形無形のリターンが生ずる可能性もあります。WBCに出場した選手がシーズンでかつてない活躍を見せれば「WBC効果」と見做されるかも知れません。契約した球団に利益をもたらすのであれば、ファンはWBC出場に賛成するのではないでしょうか。また、WBCのステイタスそのものも大会以前より向上しているはずです。前回のコメントにも書きましたが、出場したMLB選手たちが、さまざまなメディアを通じて「いい大会だった」「貴重な体験だった」「みな参加すべきだ」という意味のことを語っていますから、ファンが大会を見る目も、開催以前とは変わるでしょう)

もうひとつ、これも前回のコメントに書きましたが、あなたの主張は、すべてのMLB所属選手にあてはまります。それではUSAやドミニカやプエルトリコや韓国など他国の代表にMLB選手が大挙して出場していることについて説明がつきません。なぜ日本人メジャーリーガーだけが「辞退して当然」なのでしょうか。


>「俺たちのMLB優勝の夢はどうしてくれるんだ」と言われたら、私には返答のしようもありません。

私はその前の文章を、「義理や人情や夢やら」よりも契約を優先すべきだ、というあなたの主張に対する反論として書いています。この文章がなぜ出てきたのか、どういう意味なのか、私にはよくわかりません。
また、ここでの議論は大会への参加環境についてのもので、USAが優勝しなかったという試合結果は関係がありません。
(もし「USAを優勝させるために他国の有力選手の出場を阻止すべき、とアメリカ人が考えている」という意味でお書きになっているのなら、それには賛成しません。ボブ・デビッドソン審判の一連の判定はUSAの国内世論から大きな非難を受けました。従って、大会レギュレーションを過度にUSAに有利な設定にすることは、USAの国内世論の支持を得られないと類推できます)

話を原点に戻したいのですが、私は、あなたが最初のコメントで書かれた「契約を尊重して辞退するのがプロとして当然」という考えに異議を示しているのです(辞退するのもひとつの筋ではあるけれど、それが唯一絶対の正解ではないと思っています)。
しかし、あなたはそのことに直接は答えてくださらず、カーニバルのような奇妙な例を持ちだして議論を拡散させ、前回の私のいくつかの問い掛けにもお答えいただけませんでした。
これ以上続けても生産的な議論にはなりそうにないので、このあたりで打ち切りたいと思いますがいかがでしょうか。

いずれにしても、あなたが提起されたのが、さまざまな事情をはらんだ微妙な問題であることは確かです。やりとりを通して考えを整理することができたことには感謝しています。

>ただ、WBCは、MBLはMBLの都合で開催し、NPBはNPBの思惑で参加した同床異夢なイベントです。私たちにとっての「少しまし」と彼らにとっての「少しまし」が違っている可能性も結構あるでしょう。その辺少し気がかりではあります。

同感です。「結構」どころではなく、相当あると思います。だからこそNPBの有効なネゴシエーションが望まれるのですが、ここがもっとも懸念されることでもあります。
代表チームがレギュレーション上の危機にさらされている時には何もしようとせず、優勝すると記念写真の中央に収まるようなコミッショナーの姿を見るのは、そういう観点からは、たいへん辛いものがあります。

もっとも、WBCの参加国はUSAと日本だけではありません。日本人が「おかしい」と思ったことは、USA以外の参加国の大半も同じように「おかしい」と思っているはずで、その意見をきちんと集約することができれば、MLBといえども無視はできないと思います。

投稿: 念仏の鉄 | 2006/03/25 11:19

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