コミッショナーからのエアメール。
東洋の国への旅から戻ったら、太平洋の向こう側から手紙が届いていた。
差出人はAllan H. Selig、通称Bud。MLBコミッショナーである。おおよその意味は以下のようなものだ。
「4月12日付のお手紙、ありがとうございます。
私はあなたが立派な野球ファンであり、ワールド・ベースボール・クラシックをご覧になったことを嬉しく思います。
審判員の判定のいくつかについてはお詫びします。しかし、判定というものは130年間にわたって野球の一部でありました。あなたはとても建設的な助言をなさいました。それらはきっと、次回の2009年ワールドベースボールクラシックが計画される際に実行されることと確信しています。
時間を費やして手紙を書いていただいたことに感謝します。ご意見が聞けて嬉しく思います。
バド・セリグ」
「親愛なるバド・セリグ様へ。」と題したエントリのコメント欄を最後までご覧になった方はご存知のように、私がボブ・デビッドソン審判の判定に対する抗議文の素案をこのエントリに書いたところ、このブログによくいらっしゃる馬場伸一さんが、これをもとにして英文の抗議の手紙をコミッショナー宛てに郵送した。すると、ほぼ一か月後、馬場さんのもとにセリグから手紙が届いた、という出来事があった。
私自身はエントリをアップした際にメールを送っただけで、手紙は郵送しそびれていたのだが(お恥ずかしい限りです)、馬場さんのご報告をきっかけに、遅まきながら大会終了後の感想として英文の手紙を書き、コミッショナー宛てに送ってみた。送った手紙の内容は、以下のようなものだ(と思う。私の拙い翻訳が大きく間違っていなければ)。
「私は日本の野球ファンです。
今日、シアトルとクリーブランドの試合のテレビ中継を見ています。
ボブ・デビッドソン審判が一塁塁審として出場しているのを見て、WBCでの出来事を思いだしました。
彼がアメリカ-日本戦で、そしてアメリカ-メキシコ戦で犯したミスは、野球の審判員として、決してあってはならないことでした。主催者は、彼がミスを犯したことを最後まで認めませんでした。そのことは大会の権威を傷つけました。とても残念なことです。
我々日本の野球ファンは、WBCの開催を楽しみに待っていました。WBCは素晴らしい大会になりました。日本の優勝という結果にも満足しています。
しかし、日本を含めた世界の野球ファンは、WBCの運営には、決して満足していません。
審判員は第三国から選出されるべきです。同一の対戦が3度も繰り返されることは避けるべきです。
WBCには、数多くの改良の余地があります。
あなたがたが、この素晴らしい大会を実現したことに、私は敬意と感謝の意を表します。と同時に、第2回大会が、もっと素晴らしくなるために、ぜひ、日本を含めた他国とよく話しあい、意見に耳を傾けてください。世界の野球の発展のために。」
これに対する返信が冒頭の手紙だ。まずは型通りの文面といってよい。多くの抗議の投書に対して、似たような手紙を送っているのだろうと想像できる。とはいうものの、私の手紙に対する返事として過不足はない。馬場さん宛ての手紙とも、多少文面が違っている。
つまり、MLBコミッショナー事務局では、海外から送られてきた抗議や意見の手紙に対して、それぞれの内容に応じた返事を誰かが考えてタイプし、セリグが直筆のサインを入れて発送している、ということになる。
世界中から何通の手紙が届いたのか知らないが、これだけの労力を費やしてファンに対応していること自体には、素直に頭が下がる。WBCに限ったことではなく、これが彼らの普通の対応なのかも知れない。馬場さんの「テキのマーケティング力はすごい」という感想には、まったく同感する。
さて、われらが日本のコミッショナー事務局は、ファンから寄せられた手紙に対して、どのような対応をしているのだろうか。コミッショナー宛てに手紙を書いたことのある方は、結果を教えていただけるとありがたい。
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