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ジャイアンツ贔屓に戻ります。

 たまたまチケットが転がり込んできたので、東京ドームに巨人-楽天戦を見に行った。ワールドカップたけなわの6月16日、観客の入りは八分といったところか(公式発表では39867人)。
 シーズン成績ではまだ差があるものの、ここ10日ほどは好調の楽天と、どん底のジャイアンツ。両チームのスタメンをしげしげと眺めて、改めて思い入った。

 今のジャイアンツの戦力は、楽天とほぼ変わらない。いや、劣るかも知れない。

 四番のフェルナンデスとイ・スンヨプの成績は、まあ互角(打率はフェルナンデスが高く、本塁打はイが多く、打点は大差ない)。だとすると、ジャイアンツが上回っているのは二岡のいる三番だけで、他は似たり寄ったり。というより、スタメンに2割以下の打率の選手が3人もいるジャイアンツの方が弱そうだ。
 清水、仁志の一、二番は見慣れた顔触れだが、見慣れていたころの打率よりも、それぞれ六分くらい低い。三、四番はどこに出しても恥ずかしくないが、五番が移籍してきたばかりの木村拓也。広島時代にも見たことのないような打順だ。さらに三浦貴、岩館、実松、最後が投手のパウエル。代打で出てくるのは斎藤宜之に堀田だ。山崎が代打本塁打を放つ楽天の方が選手層が厚い。FalseStartでは今季のジャイアンツを「黄泉瓜パ・リー軍」と揶揄するが、この形容はもはや実体にそぐわない。「イースタン・リー軍」と呼ぶのがふさわしかろう。

 小久保、高橋由伸、阿部ら主力中の主力がそろって欠場し、売り出し中の矢野や鈴木らもケガ。もはや「巨大戦力」と呼ばれたチームは見る影もない。これほど戦線離脱者が多い状況では、原監督もどうにも手の打ちようがないだろう。

 そんな瓦解寸前のチームをかろうじて支えているのが、上述の三、四番。二岡とイ・スンヨプの2人だ。多くを語らず、派手な振る舞いもない二人だが、とにかく試合に出場し続け、打ち続けていることが、このチームにとって何よりの救いとなっている。
 とりわけ、イがいなかったら、このチームはどうなっていたことかと思う。開幕から打ちまくり、一時は調子を落としかけたものの、また持ち直してきた。故障で出場が危ぶまれたこともあったが、黙って打席に立つ。

 イは昨年オフに、2年間在籍した千葉ロッテとの契約を拒み、ジャイアンツに移った。バレンタイン監督は「セに行けば本塁打が50本打てると思ったのだろう」と不快感をあらわにし、交流戦ではロッテファンが終始強烈なブーイングを浴びせ続けた。

 ブーイングを受けるのは仕方ない。だが、今年のジャイアンツは(というよりも原監督は)、イが熱望していながら千葉ロッテとバレンタインが決して与えようとしなかったものを、彼に与えている。常時出場、四番打者、そして、揺るがぬ信頼。それらがイを動かしているのだと思う。
 金や人気だけを目当てに移籍した選手なら、突き指が治らないうちに打席に立ったりはしない。

 イがこの冬にジャイアンツを去る可能性は高いと私は思っている。もともと強固なMLB志向を持ってる選手だ(千葉ロッテに入団したのも、韓国からMLB入りを目指して失敗した結果だった)、今春のWBCで打ちまくったことでMLBにおける値打ちは上がっただろう。現在の「読売ジャイアンツの四番打者」という地位は、松井秀喜が通ってきた道だけに、ここで好成績を残せばMLB関係者にも高く評価されるのではないかとも思う。イにとって、これ以上の売り時はない。

 だが、もし1シーズンだけの在籍になったとしても、このチームはイから学ぶべきものがある。強い規律意識、萎えることのない闘争心、プレッシャーへの強さといった彼のメンタル面での特長を、売り出し中の矢野や亀井、鈴木らの若手選手、あるいは今まさにチームを支えなければならない中堅選手たちは、よく観察し、よい影響を受けるとよいだろう。それこそ、昨今のジャイアンツに最も欠けていた精神性であったのだから。

 試合は同点でパウエルを継いだ久保が勝ち越し点を奪われ(よりによって二岡のタイムリーエラーだ)、さらに出てきた林が代打・山崎に2点本塁打を浴びて万事休した。アルゼンチン-セルビア・モンテネグロ戦中継に間に合うように途中で帰ろうと思っていたが、あまりの痛々しさに、かえって席を立ちがたくなり最後まで見てしまった(で、帰宅後に再び痛ましい殲滅戦を目撃する羽目になるのだが、それはまた別の話)。

 千葉ロッテへの6戦全敗をはじめ、それなりに健闘はするものの終盤に突き放されるという展開の試合が多いのは、もう単に力がないのだと考えるほかはない。巨大戦力がシステム不全を起こしていた昨年までとは弱さの質が違う。このチームは根本的に生まれ変わるべき時期にある。

 原監督が間違った道を歩んでいるとは思わない。これまでのチームづくりのツケを払わされているだけだ。
 3年前の秋、原が監督を解任された時に、ジャイアンツへの関心も失ったつもりだった。だが、彼が戻ってきて、これだけ苦労しているのを他人事として眺めている気にもなれない。私はジャイアンツ贔屓に戻ろうと思う。少なくとも原が監督をしている間は。

 だからといって、自分が東京ドームのライトスタンドでオレンジ色のタオルを振ったり、テレビの前で叫んだりするようになるとも思えないので、ファンというよりは単なる心情、単なる贔屓だ。このblogで感情的になるとも思えない。ただ、これからジャイアンツについて触れる文章を書く機会があれば、その際の立ち位置を表明しているのだとご理解いただきたい。

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コメント

イのファンです。

実力は勿論のこと、寡黙で控え目。親御さん思いの所が
とても好きです。
知り合いの韓国人女性が、彼のファンクラブに入って
いるのですが(笑)、彼女曰く、彼はとても気さくで
ファン思いの良い人だと言っていました。
ファンを連れて、食事に連れて行ってくれたりするそうです。
「活躍すると高飛車になる人が多いけれど、彼は違う。
本当に謙虚な人で、これからもずっと応援したい」
と、ベタ褒めでした。

ジャイアンツを出そうなのですか・・・。
もう少し居て欲しいのですけどね^^。

投稿: cimbombom | 2006/06/19 00:50

>cimbombomさん

>ジャイアンツを出そうなのですか・・・。

彼がそう考えているという明確な根拠があるわけではなく、ここまでの経緯から推測しているだけです。
ジャイアンツが優勝を逃せば、責任感の強い人だから、もう1年くらい残るかも知れない、という気もしますが。

投稿: 念仏の鉄 | 2006/06/19 02:28

スンヨプがロッテを出たがったのは『起用法に嫌気が差したから』ですけど。
彼は外野守備がとにかく嫌いで、MLBに挑戦した時も外野なら取ってくれそうなチームはあったのだけど彼が一塁に拘ったが故に契約が不調に終わったと言う事情もあったようで。
(MLB各チームの一塁と言えば超人クラスの長打力を持つ主砲が座るポジションであり、メジャー実績の無いスンヨプが座るのは無理)
で、日本に来てロッテで一塁で使われた1年目は惨憺たる成績(.240 HR14 点50)で、
しかもロッテには一塁に3割バッターでゴールデングラブも取っている名手・福浦がいました。
スンヨプは必然的に外野に押し出される結果となり、嫌気が差した彼はロッテとの契約を蹴った、と。

彼は結局ロッテでは、実力で『信頼』も『ポジション』も『常時4番』も勝ち取る事が出来なかった訳です。(もっとも、ボビー式日替わり打線の中で常時4番はかなり厳しいと思われる)
対して今の巨人では彼以外に常時4番に座れる打者が居ないので必然的に望むポジションが手に入っている訳ですな。

投稿: 半速球 | 2006/07/23 19:39

>半速球さん
ご解説ありがとうございます。

投稿: 念仏の鉄 | 2006/07/24 01:47

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