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2006年12月

よいお年を。

 こんな話題にはまだ若干早いのですが、年末年始は留守にしてしばらくアクセスできなくなるので、早めにご挨拶を。

 テレビではすでに年末の回顧番組が相次ぎ、荒川静香の金メダルやWBCの優勝などが流れるのを見ると、あれは今年のことだったっけか、などと遠い昔日のように感じてしまいます。
 トリノ五輪、WBC、サッカーワールドカップ、早実の甲子園優勝とスポーツ界には大きなイベントが目白押しで、当blogもそのような流れに追いまくられたような一年でした。
 これらのイベントを経るごとに、訪れる方や書き込まれるコメントがえらい勢いで増えていき、貴重な情報やご意見をいただいたり、思い掛けない知己を得ることができました。と同時にずいぶんとコメント欄の雰囲気に変化が生じたりもして(たぶんそれは私自身にも影響や変化を及ぼしたのだろうと思います)、blogというものの面白さと難しさを同時に知ることにもなりました。

 秋口から実生活が何かと多忙になったり、blogやインターネットとの付き合い方についていろいろと思いを巡らせているうちに、思い切り失速したまま2006年が終わっていくわけですが、来年どうなるかはよくわかりません。いずれにしても、考えたり書いたりすることをやめるわけではないので、折り合いのつく着地点を見いだせたらいいなと思っています。

 ともかく、これだけ放りっぱなしのblogに今も毎日かなりのアクセスをいただいていることには、ただただ驚き、感謝するばかりです。
 ご来訪の皆様にお礼を申し上げるとともに、皆様がよい年を迎えられることを祈っております。

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真冬にビキニはたいへん結構だったのだが。

 三角ビキニの浅尾美和が両手を腰に当てて仁王立ちしている表紙と「真冬にビキニで何が悪い!」というコピーに目を奪われてジャケ買いしたSPORTS Yeah!(No.155)を読んでいたら、後ろの方に本郷陽一編集長と玉木正之ら執筆陣の座談会があり、冒頭いきなり「今回は『スポーツ・ヤァ!』の廃刊・最終号なので…」とあったので驚いた(後で見直したら表紙の隅にも書かれていた)。

 Numberのバッタ物のようにして始まった雑誌だったが(判型も紙質も発行サイクルもほぼ同じ。今回のようなスポーツ美女特集も、スポーツイラストレイテッド水着特集の流れを汲むNumberのお家芸のひとつだ)、近年は内容が充実してきて、Numberと特集がかぶっても、こちらの方が読みごたえがあると感じることも少なくなかった。玉木正之が常駐しているだけあってNumberより理屈っぽい記事も多かった。
 何にせよ、総合スポーツ誌が消えるのは残念ではある。残念ではあるのだが、編集長が座談会で「続ける手段はあると思いますが…角川グループの分社化も影響して、その責任者一人の独断に近い決定じゃないですか」と発言したり、廃刊の辞の中で「経緯についての恨み骨髄、反省は胸にしまいます」と書いたりしているのを見ると、同じ業界にいた身としては「売れなかったんなら仕方ないんじゃないの」と鼻白む気分も湧いてくる。

 このところ、蔵書を整理・処分する必要に迫られて、埃をはたいたり拭ったりしながら地層化した雑誌の山を掘り返しているのだが、今は亡きスポーツ雑誌を目にしては、こんなのもあったなあ、と当時を思い出してばかりいる。
 記憶に新しい「VS.」や、「アスラ」「ジェイレヴ」、あるいはJリーグ開幕前後に再刊の兆しがあったが兆しどまりだった「newイレブン」。あまり知る人もいないと思うが「スポーツ・マネジメント・レビュー」というのもあった。きっと海外サッカー専門誌も、私が気付かないうちに生まれたり消えたりしているのだろう(そういえば「STAR SOCCER」は生まれたと思ったら消えてしまったな)。
 スポーツとは無関係な雑誌も含めて、面白くなってきたな、よくなってきたな、と思った矢先に消えてしまう雑誌は少なくない。「Yeah!」を特権的に語るまでもなく、同程度、あるいはもっと惜しかった雑誌はいくらでもある。雑誌というのは、波が寄せては返すように生まれては消えていく、そういう性質のものなのだろうと思う。

 Yeah!の座談会の中で、藤島大が「一誌くらい硬いスポーツ誌があってもいいはずですが…」と話し、玉木が「作りましょうか」と受けている。
 彼らは知らないのかも知れないが、野球には「野球小僧」、サッカーには「サッカー批評」という、これ以上に硬くは作れないだろうという純度の高いスポーツ雑誌がある(前者はひたすら芸談に没頭し、後者は論壇誌ふう、と対照的なのも面白い)。私はどちらも最新刊の刊行を心待ちにし、創刊から全号を読んでいる。
 「野球小僧」は不定期刊行物としてスタートし、だんだんと間隔が狭まって、今は月刊誌となっている*。と同時に「中学野球小僧」などの姉妹誌を出し、さらに「サッカー小僧」など同じ判型や手法で別のスポーツを扱う雑誌も生まれてきた。
 「サッカー批評」は季刊誌として始まり、今もそのペースを守っている。途中で創刊時の編集長が降り、しばらくは迷走していたが、今はだいぶ落ち着いてきて、新しいスタイルを見いだしつつあるようだ。

 これらの雑誌はNumberやYeah!と違ってキオスクにもコンビニにも置かれていないし、それほど多くの部数が出ているとも思えない。だが、創刊から7,8年にわたって刊行され続けている以上、版元に損をさせてはいないのだろう。そもそも、作ること自体にそれほど大きな費用がかかっているとも思えないから、赤字だとしても、そう大きな額にはならないと思う。そして、それが「野球小僧」や「サッカー批評」の強みでもあるはずだ。

 Yeah!の本郷編集長は座談会の中で、売れていなかったことをしぶしぶ認めている。「今回のワールドカップの日本惨敗で売り上げが伸びなかったのも響きましたね」とも話しているから、たぶんその時期に部数を増やして失敗したのだろう(ってことは、この編集部は日本が前回並みに勝ち進む方に賭けていたわけか)。
 投下した費用を回収できないのであれば、事業は回らない。
 雑誌を出し続けるために必要なのは「儲ける」ことよりも、「会社に損をさせない」ことだ。
 少数でも熱心な顧客層を獲得し、そこから想定される収入の範囲内で雑誌を作っている限り、事業としては安定する。「野球小僧」や「サッカー批評」は、たぶんそのようにして成り立っている。
 yeah!の座談会の参加者たちは、メッセージ性の強いスポーツ雑誌は売れない、と考えている気配があるが(違ったらすみません)、案外、「メッセージ性の強いスポーツ雑誌」の方が商売としては手堅いのかも知れない。ただし、Yeah!のように、いい紙を使い、カラーページばかりで、海外出張しまくるような作り方をしていては、それだけの費用を賄うのは難しい。プロスポーツクラブと同様、雑誌編集部も、身の丈にあった経営をしなければ持続できない。

 たぶん雑誌というものは、「ちょいワル」で売った御仁の手がけるもののようにあらかじめ豊富な広告収入を確保してふんだんに金をかけるか、「野球小僧」などのように確実な顧客を確保してそこからの収入の範囲内で作っていくか、両極に別れていくのだろうと思う。もとより従来からそういう構造はあるけれど、今後はますます、どちらかに特化していないものは作りづらくなっていくだろう。
 そして、スポーツ雑誌に関しては、高級感をふりまきながら登場した「VS.」が玉砕した以上、前者のやり方は難しそうだ。
 かといって総合スポーツ誌がNumberしかないというのでは寂しすぎる。Sportivaには、独自路線にさらに磨きをかけて頑張っていただきたい。

* 「隔月刊誌」の誤り。southkさん、ご指摘ありがとうございます。(2006.12.19)

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