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アマチュア球界に代理人制度を導入する、という試案。

 西武ライオンズのアマチュア選手獲得における不正な金銭供与についての中間報告が発表された。いろいろ物議をかもしているようだが、アマチュア球界の指導者170人に金を渡した、という人数の多さは目を引くが、内容的にはさほど目新しくはない。プロもアマも関係者は衝撃を口にしているが、それは内容そのものというよりも、皆でないふりをしてきたことが公になった、という事態に対してなのだろう。

 私がもっとも知りたかったのは、逆指名制度の導入以前と以後で金銭供与は増えたのか、逆指名や希望枠で入団した選手に対して不正な金銭供与を行った度合は有意に高いのかどうか、という点なのだが、いくつかの新聞で報告書の概要に目を通した限りでは、その点については触れられていなかった。
 プロ側もアマ側もメディアも「ドラフトの希望枠が不正の温床」という点では意見が一致しているようだが、実際のところ、それはあくまで推測であって、実証した人はいない(球団内部で情報を握っている人はいるだろうけれど)。根拠が曖昧なままに制度をいじろうとしているわけで、それはいささか無理のある話だ。
 その意味では、今回はひとつの球団の二十数年間にわたる選手獲得活動のすべてを調査するというまたとない貴重な機会だ。調査委員会の先生方には、ぜひそのあたりもしっかり数字で示していただけるとよいと思う。

 さて、この発表についてさまざまな球界内部の人の談話が紹介されているが、千葉ロッテのボビー・バレンタイン監督はこんなことを言っている。
<アメリカではアマチュアの指導者が選手の進路に影響を与えることはない。その役割は代理人が担っており、代理人も選手が契約する前に利益を得ることはない>(4/5 スポーツ報知)

 アマチュア選手が代理人を立てて球団と交渉する、という事例が日本にあるのかどうか。おそらくは親戚や知人が同席するというレベルにとどまり、代理人契約を交わして契約金の一部から報酬を受け取る、という形の代理人が登場したという話は聞いたことがない。アマ選手が代理人を立てたいと言い出したら、相手はまだプロ野球界の人ではないのだから、プロ野球側の内規で縛ることはできないのではないかと思う。

 ただし、仄聞するところでは、入団交渉に際して、選手の「代理人」を自称する人物が介入してくることは結構あるらしい。高校や大学の指導者であったり、OBであったり、親戚であったり、あるいは何だかよくわからない知人であったり、立場はいろいろで、法的にどういう立場にあるのかもよくわからない。そういう人々に払う出費が馬鹿にならない、とも聞く。
 そのように実態が先行し、しかも弊害も発生しているのであれば、いっそ高野連なり学生野球連盟なりが公認代理人制度を作って公の存在にしてしまい、交渉のルールを定め、代理人が作成する契約書に記されない金銭の授受はすべて厳罰の対象とし、交渉経過や結果に関する報告を義務づければ、わけのわからない金を押し付けたり、むしりとられる、という類いのトラブルは減少するだろう。交渉相手が一本化できるというのも球団側にはメリットになるかも知れない。

 で、前にも書いたように、選手の指導者や学校に対する礼金も制度化する。契約金の額に応じてパーセンテージを決め、その金額が学校なり野球部なりに自動的に支払われるようにする。プロに行くレベルの選手を育てるには、学校や指導者にも相応の金はかかる。その費用の一部なのだから、こそこそ受け取る必要もない。これが社会通念上、公序良俗に反する行為だとは私には思えない(金額にもよるとは思うが)。
 学校側がこの収入を税務上どう処理するか、という類いの事務的な問題はあるけれど、解決は不可能ではないだろう。

 というわけで、アマチュア選手がプロ球団と契約する際の金の流れをすっきりさせ透明化する、という点においては、代理人の起用は相応の効果がありそうだ。

 一方、デメリットはどうだろうか。

 もっとも懸念されるのは契約金の高騰化だ。バレンタインは言わなかった(あるいは報知が書かなかっただけかもしれない)が、近年、アメリカではアマチュア選手の契約に際して代理人がつくことによって、ドラフト会議で上位指名されて入団する選手の契約金や年俸が高騰していると聞く。アメリカにプロに近いレベルの社会人野球はないので、選手は野球を続けようとする限りプロに行くしかないのだが、MLBのドラフトは年2回ある。そこで選手側(の代理人)は「この金額を払わなければ次のドラフトを待つよ」という脅しをかけるのだという。
 日本でも、新人選手に代理人がつけば、契約金や年俸が高くなっていく可能性はある。希望枠がなくなったとしても、かつてくじ引きドラフト時代に行われていた「希望球団以外ならプロには行きません」という駆け引きが、さらに洗練されることになるだろう。

 また、弁護士などの専業代理人がアマチュア選手の入団交渉に関与するということは、結果として、アマチュア指導者の関与を排除していくことになるだろう。
 バレンタインの談話を読むと、彼は指導者が進路選択に関与すること自体がおかしいと考えているようだが、日本では監督は選手の卒業後の進路に責任があるという考えがそれなりに根付いているようだ。プロ入りするレベルの選手ならプロや大学や社会人から誘いがあるだろうが、それほどではない選手が大学や社会人で野球を続けようとしたら、監督の力(というより人脈か)に頼ることも多いのだろう。
 しかし、プロ球団との交渉にプロの代理人が入ってくると、指導者の影響力は今ほど発揮できなくなっていくかも知れない。
 現状ではいろいろ問題はあってもそれなりに機能しているらしいこの手の秩序も、何らかの変化が起きることになる。

 というわけで、代理人を導入すべき、とまでは言いきれないが、アマチュア球界にとって、研究してみる価値はあるのではないだろうか。
 だが、報告書の中間報告に対するアマチュア球界の反応は、驚いたとか、金を受け取った指導者の名前を明かすよう調査委員会に求めたとかいうばかりで、今後の制度設計をどうするかという方向での発言は聞こえてこない。厳罰だけで何とかなると思っているのだろうか。
 高野連の参与は相変わらず「驚いた」などと発言しているのだが、高野連一筋に何十年も務めている人がこういうことに驚いているようでは、カマトトぶっているか、そうでなければ情報収集能力に問題がある。


 サッカーの世界では日本でも代理人が存在し、一定の機能を担っている。移籍交渉などがクローズアップされるけれど、選手に代理人がつくことの最大のメリットは、「その選手個人のキャリア設計を最優先に考えるスタッフが存在すること」にあると私は思う。高校や大学の指導者も、所属するクラブの指導者やスタッフも、原則としてテンポラリーな関係だ。学校に責任があるのは選手を送り出すまでだし、クラブはその選手を必要としなくなれば解雇して関係は終わる。選手の利害は選手自身が考えるしかないのだから、その部分をサポートするスタッフが求められるのは自然なことだ。高額契約を勝ち取ることを主たる業務とするような代理人もいるのだろうが、選手のサポートを重視するタイプの代理人もいると聞く。

 そう考えると、選手の競技生活の中のたった3年間だけしか関与しない組織が、選手のキャリア設計に対して絶大な権力を持ち、支配的に振る舞うというのは、かなり奇妙なことと言えるかも知れない。

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コメント

立花隆の「『田中角栄研究 その金脈と人脈』を読んだ日本の現場記者たちはみな『誰でも知ってる公然の秘密をいまさらエラそうに指摘してるだけでなんら新しい知見はない』と思ったが、同じ記事を読んだ外国人記者クラブが騒ぎだして大問題になった。大問題になったから日本の記者たちも騒ぎ出した」とか聞いて、なんて日本の記者は情けないんだ、と思ったことがあります、昔のことですが。

>内容的にはさほど目新しくはない。プロもアマも関係者は衝撃を口にしているが、
>それは内容そのものというよりも、皆でないふりをしてきたことが公になった、
>という事態に対してなのだろう。

>高野連の参与は相変わらず「驚いた」などと発言しているのだが、
>高野連一筋に何十年も務めている人がこういうことに驚いているようでは、
>カマトトぶっているか、そうでなければ情報収集能力に問題がある。

これは、そういうことがあるのは公然の秘密だった、というような意味でしょうか。この話題に限らず一般論として、『公然の秘密』というのは、記者たちはみんな知っていた(その気になれば証明もできた)のに、何かに配慮して書かなかった、というような意味なんでしょうか。だとすると、どうして記者たちは、知ってるくせに書かないのでしょうか。

投稿: nobio | 2007/04/08 02:26

>nobioさん

>これは、そういうことがあるのは公然の秘密だった、というような意味でしょうか。

ちょっと前のエントリ<裏金を受け取るアマチュア野球側には、構造改革は必要ないのだろうか。>の末尾にいくつかの雑誌記事を紹介しましたが、選手や家族、指導者に対して公にされない金銭供与が行われていたということは、このような形で過去にもたびたび活字になっていますし、私のこの件に関する知識も活字媒体から得たものです。ちょっと関心があれば、そういうことが行われているらしい、というのは部外者にも知り得ることです。

また2004年には、大学の現役選手がプロ球団から金を受け取っていた事例、高校の指導者がプロ球団から選手への契約金の一部を受け取っていた事例が公になっています。アマチュア球界は、個別の事例を処罰しただけで、抜本的な調査や改革に乗り出すことはしませんでした(当時、<それでもまだ沈黙している人々。>http://kenbtsu.way-nifty.com/blog/2004/10/post_9.htmlというエントリにそのことへの不満を書きました)。
そのような状況を踏まえると、今、アマチュア野球団体の幹部が「驚いた」と発言するのが適切であるとは私には思えません。

…という意味で書いているのですが、それが「公然の秘密」にあたるのかどうかはよくわかりません。本件に限らず私はこの表現をあまり使いませんし。
『田中角栄研究』にまつわる新聞記者の発言と同じか、という趣旨のご質問であれば、上述の通り、過去に活字にもなり具体的な処分事例もあるわけですから、だいぶ違うんじゃないでしょうか。


>この話題に限らず一般論として、『公然の秘密』というのは、記者たちはみんな知っていた(その気になれば証明もできた)のに、何かに配慮して書かなかった、というような意味なんでしょうか。だとすると、どうして記者たちは、知ってるくせに書かないのでしょうか。

何かに配慮して書かないこともあるのかも知れませんし、調べようとしても確証が掴めず記事にできないこともあるでしょう(噂として「知ってる」ことと、当事者から訴訟を起こされても負けないレベルの事実を掴んでいるということは、まったく違います)。個々の事例ごとに事情が異なるので、一般論として語るには無理のある話題という気がします。

『田中角栄研究』についていえば、着眼点と方法論に立花氏の独創性があり、そうそう誰にでもできる仕事とは思えません。新聞記者たちが「知ってるくせに書かなかった」というのは過大評価(あるいは負け惜しみ)で、実際には「書けるほどのことは知らなかった」し、「調べる方法もわからなかった」のではないでしょうか(「何かに配慮して書かなかった」のかどうかは知りませんから否定も肯定もしませんが)。

なお、同じ文面のコメントが3件ありましたので、1つを残して削除しました。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/04/08 23:52

概ね同感です。
この国はプロ野球界すら代理人の役割をガチガチに縛っているので、
アマチュアがそこまで踏み出すのはかなりの決心でしょうが…。

> アメリカにプロに近いレベルの社会人野球はないので、
> 選手は野球を続けようとする限りプロに行くしかないのだが

社会人はないけど、独立リーグがありますね。

> 近年、アメリカではアマチュア選手の契約に際して代理人がつくことによって、
> ドラフト会議で上位指名されて入団する選手の契約金や年俸が高騰していると聞く。

代理人は確かに報酬の高騰を招いた存在です。
しかし球団経営に緊張感を与え、
MLBの高度化を成り立たせる「後押し」になったとも思います。
経営にアドバイスする代理人がいるらしいですからね。
収入を増やすことにも貢献していると…。

投稿: 党首 | 2007/04/10 11:10

>党首さん
>社会人はないけど、独立リーグがありますね。

確かに。MLBと契約できなかった有名選手が独立リーグでプレーしながらチャンスを待つ、という事例はたまに聞きますから、ドラフト指名を拒否した選手が次のドラフトまでプレーすることもあるかも知れませんね。


>しかし球団経営に緊張感を与え、
>MLBの高度化を成り立たせる「後押し」になったとも思います。
>経営にアドバイスする代理人がいるらしいですからね。
>収入を増やすことにも貢献していると…。

そうなれば理想的ですね。
そのためには優秀な代理人と同時に、
カウンターパートとしての優秀な球団経営者も必要ですから、
それぞれ前進してもらいたいものです。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/04/11 10:17

>新聞記者たちが「知ってるくせに書かなかった」というのは過大評価
>(あるいは負け惜しみ)で、実際には「書けるほどのことは知らなかった」し、
>「調べる方法もわからなかった」のではないでしょうか

な、なるほど。あれから何十年経つのかわかりませんが、その間そういう解釈をいっぺんも思い付きませんでした。言われてみると実にそんな気がします。

今日は横浜が那須野に五億払ってた、という発表があって、それは週間文春に出るからだ、と、ニュースで理由を言ってましたが、西武のはいまだに理由がわかりませんね。選手にスカウトから「バレたから発表する」と電話があった、とか読みましたが、誰にどうバレたんだか気になります。

投稿: nobio | 2007/04/12 03:39

>nobioさん
>言われてみると実にそんな気がします。

ま、決定的証拠を握っていたら、いくら何でも記事にするだろうと思います。私の願望的観測なのかも知れませんが。


>西武のはいまだに理由がわかりませんね。

どこかの週刊誌で、取材を申し込んでいたら発表された、みたいな愚痴めいた記述を読んだ気がします。週刊朝日だったかな。バックナンバー探して確認できたら報告します。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/04/12 22:28

こういう書き込みを読んだんですが、
2ちゃんねらー創作のネタでしょうか。

----------------------------------------------------------
220 名前:選手会は氏ね! メェル:sage
投稿日:2007/04/14(土) 00:40:05 ID:q3h40opc0
ttp://www.uploda.org/uporg772974.jpg

本日の日刊ゲンダイより抜粋

Q=日刊ゲンダイ
A=松原徹 選手会事務局長

Q 関係者・選手への調査予定は?
A ありません。選手個人を取り上げるつもりはない。
  選手が謝る必要もない。西武が第三者に調査を頼んだのが問題。

Q なぜ?
A 西武のフロントに責任がある。野球は相手あってのもの。
他の11球団・選手・アマチュアに飛び火させるな。

Q (選手・アマチュアも)裏金をもらったと報告書にあるが・・・
A 裏づけをとってない。決め付けはよくない。

Q それでは、ウミはでないのでは。
A フタをするわけではないが、ウミをだすということは前にあったことを
根こそぎ出すということではない。
  今後、どうするかということ。

Q 選手会は選手に注意を促さないのか?
A 選手会は選手に”不正な金はもらうな”とはいえない。プロ入り前だから。

Q 契約金は最高標準額(1億円+出来高)を超えてもいいのか?
A あくまで目安。

Q 公表では1億円となっている。ファンに嘘ついてることにならないか?
A (むっとして)それは心外。選手会としては
契約金・年俸の公表は必要ないと思ってる。
  なぜ公表しなくてはいけないのか?嘘だなんて心外。
----------------------------------------------------------

投稿: nobio | 2007/04/16 01:44

>nobioさん
>2ちゃんねらー創作のネタでしょうか。

面白い情報をありがとうございます。
調べてみましたが、4/13(金)発売の日刊ゲンダイに松原事務局長のインタビュー記事が掲載されていました。この書き込みはかなりぶっきらぼうにダイジェストされていますが、大筋はこの通りです。挑発的な取材に乗せられて感情的になっている感じが伝わってきます。
これが彼(ら)の本音なのであれば、私がこれまで何度も選手会について書いてきたことは、さほど外れてはいないかなという気がします。嬉しくはないですが。

あと、週刊朝日はかなり遡って目次を眺めてみましたが、それらしい記事が見当たりませんでした。他の週刊誌だったかな。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/04/16 14:45

選手会事務局長のコメント、事実ですか~。かなり「がっかり」ですね。選手会=善玉という「思い込み」が崩壊してけっこうショックです。ストのときの古田選手会長の涙にすごく感激したのに~(泣)。
まぁ世の中こんなもんなんでしょうが。

さて、岡崎満義さんが「12球団がまとまって「野球奨学金制度」をつくってみたらどうか」という提案をされています。ご参考まで。
http://www.sportsnetwork.co.jp/adv_3/col_okazaki.html

投稿: 馬場 | 2007/04/17 17:20

>馬場さん
選手会に関する報道は信用できないという固い信念をお持ちの馬場さんが、そんなに簡単にがっかりしてはいけませんよ。日刊ゲンダイに載ったのは事実でも、内容が信用できるかどうかはまた別の話じゃないですか(笑)。

記事の原文はそのうちゲンダイネットにアップされるのではないかと思います。
ネット上に全文引用や記事の実寸大写真も転がっていますが、著作権法違反に加担するのは気が進まないのでリンクはやめておきます。

>選手会=善玉という「思い込み」が崩壊してけっこうショックです。

あまり善玉とか悪玉とかいう構図で考えるような筋合いのことではないと思いますけどね。積極的に野球に対して害をなそうと思っている関係者は、たぶんほとんどいないと思います。それぞれにとっての優先順位が食い違っているだけで、主観的にはいいことをしているつもりの人も多いのでは(特に高野連とか)。だからこそ厄介なわけですし。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/04/17 23:23

いや、確信的に「がっかり」しています。
あまりにも「球団統合問題」のときの対応が見事だったので、選手会を買いかぶっていたんですねー。今回の「周章狼狽なす事を知らず」の選手会は、これが同じ組織なのかと目を疑いたくなります。

例えば、こんな↓報道が出る。

選手会長、球団に不信感 契約金過払い問題
 プロ野球横浜の相川亮二選手会長は12日、那須野巧投手への契約金過払いが発覚したことについて、球団フロント陣への不信感をあらわにした。
 今回の問題では、内部文書が週刊誌に掲載されており「覚書などを外部へ漏らした人間がいることがむかつく」と話した。 [共同通信社]

この発言は、いかにもまずい。まず言葉遣いが幼稚で粗野で、不快きわまりないのですが、何よりまずいのは「同じ穴のムジナ」ということを暗に認めてしまっていることです。ファンは「あぁやっぱり」と思うし、「悪いことしといてバレたら内輪揉めかい」と興醒めも甚だしい。実に不用意かつ不愉快な発言です。松原事務局長といい、相川選手といい、かくのごとき不適切発言のオンパレード。

私は彼らの発言を見ていて、「あぁこいつらは本当にやましいところがあるんだ」と確信しました。「球団統合問題」のときは心にやましいところがなかったから、果断で鮮やかな行動が取れたんですねぇ。今回は、自分の良心に照らして忸怩たるところを衝かれたもんだから、慌てる、怒る、ふてくされる。みっともないったらありゃしませんが、人間って、そういうものかもしれません。ま、悪いことをしていると後ろめたく思っている分だけ、本当の悪人ではないと言えるんでしょうが(笑)。

でも、プロ野球選手会、こういうピンチのときに頑張らなくてどうするんでしょうか。選手会が沈黙している間に、選手の立場がどんどん悪くなっていっています。「選手を守る」という、その本来の使命を果たすためにも、またプロ野球の未来のためにも、この問題に対する毅然とした対応を取る義務が、選手会にはあると思います。(本来「対策本部」の中心になるべき事務局長が最初に火だるまになってしまったわけですから、動きたくとも動けないのかもしれませんが・・・。宮本会長の鼎の軽重が問われています。)

投稿: 馬場 | 2007/04/20 14:35

選手会が「裏金をなくすためにも完全ウェーバー制を」と主張するのを何度も聞いてきたので、てっきり「裏金はけしからん」と言ってるんだと、私は思い込んでいました。しかし「嘘だなんて心外」とか「漏らしたヤツがムカつく」という発言からすると、選手も選手会も裏金自体を悪とは思っていないようで、善玉悪玉はともかく、そんなら何のために裏金をなくせと言うのか、根本的なところがよくわからなくなりますね。

投稿: nobio | 2007/04/22 16:25

裏金問題は、もともと贈収賄とは違います。収賄が悪なのは、公職という「(国民からの)預かりもの」に伴う権限を私的に使用するからであって、「公のものを盗む」から犯罪なのです。いっぽう選手がもらう「裏金」は、本質的には契約金や報酬の延長線上にあるものであり、選手自らが所有する「才能」について支払われるものですから、誰のものを盗んだものでもありません。
「契約金はいくら以内」というのは「業界内の自主ルール」です。契約金の高騰に悩んだ球団側がつくった申し合わせですから、自らつくったルールを自ら破っている点で、球団サイドの方が選手サイドより遙かに悪質であり、遙かに重い責任を追及されるのは当然です。
しかし、選手も「裏金」をもらった時点で「プロ入り」の意思表示をしたわけであり、それ以降プロ野球のメシを食ってきたわけですから、「業界の自主ルール」を遵守する義務があります。選手会も、こういう点をきちんと総括した上で球団側の責任を追及すべきなのです。(特に業界に新規参入する人材に、最初から「ルール違反もOK!」みたいなことを教える結果になるという点で、「裏金問題」は悪質だと思います。)
それにしても。
「自分で決めたことを自分で守ら(れ)ない」という、ガバナンスの悪さ、コンプライアンスの欠如は、日本プロ野球界の後進性を如実に示すものですよねー。はぁー

投稿: 馬場 | 2007/04/22 18:17

>馬場さん
>「球団統合問題」のときは心にやましいところがなかったから、果断で鮮やかな行動が取れたんですねぇ。

球団数が削減されれば一定数の選手は職を失います。雇用確保のために一致団結して事に当たるのは組合としては当然の行動で、良心がどうこうという話ではないと思います。

>nobioさん
>そんなら何のために裏金をなくせと言うのか、根本的なところがよくわからなくなりますね。

たとえば、彼らの狙いは「完全ウェーバー制を」で、その主張のために利用できる材料のひとつが「裏金をなくすためにも」だった、という推測が成り立ちますね。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/04/23 05:59

はじめまして。

裏金をなくせということがわからないという馬場様のご意見に驚き、
いささか時期を失した感はありますが、コメントします。
なぜ裏金にするかといえば、それは脱税を容易にするため、というのが
一番の目的でしょう。これが「表金」で契約金5億と出てしまえば、
税務署の目をごまかすことが難しくなるでしょうから。
メジャーリーグのチームのスカウトが直接日本のアマを一本釣りしようと
したとき、その間にブローカーが入ってきたそうですが、メジャー側が
代理人契約を結んでから来てくれ、というのを断ったために御破算に
なった、という事例があったそうですが、裏金というシステムは
タックスフリーの金を授受する上で効率的だから生き残ったのでしょう。

投稿: マグナカルタ | 2007/05/23 03:38

>マグナカルタさん
そういう効果もあるとは思いますが、直接的には野球界の申し合わせで契約金の上限を決めてしまったためでしょう。西武球団は裏金も含めてすべて正規の帳簿に載せていたそうですし(そうなった理由は、堤義明が部下を信用していなかったからだ、という説をどこかで読みました。卓見だと思います)。
球団がアマの指導者に払う金を隠すのも学生野球憲章で禁じられているからですし、脱税はそれらの結果であって、脱税自体が目的ではないんじゃないかと私は思っています。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/05/23 08:40

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いま日本の野球界が取り組まなくてはいけない問題として、何よりも最優先されるべきであり、同時に一番大変な難産どころか下手したら死産に繋がりかねないけど、やらなくてはどっちみち先がないと思うこと、それはやはり「プロアマ統合」であり、これを実現する為なら、どれ... [続きを読む]

受信: 2007/04/07 00:59

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