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この際、プロ野球もユース制度を作ってみますか。

 野球部員の特待生制度を設けていた高校は、高野連の集計では334校、締切時刻後の申告分も含めると373校に上るのだそうだ(読売新聞による)*。
 脇村春夫会長は2日の会見で「数が多くて驚いている」と話したが、学生野球憲章の見直しについては明確に否定した。
(何を今さら驚いているのか、という感想は2つ下のエントリと同じ)

 特待生制度を禁止する根拠となっている学生野球憲章第13条の条文は以下の通り。

<選手又は部員は、いかなる名義によるものであっても、他から選手又は部員であることを理由として支給され又は貸与されるものと認められる学費、生活費その他の金品を受けることができない。但し、日本学生野球協会審査室は、本憲章の趣旨に背馳しない限り、日本オリンピック委員会から支給され又は貸与されるものにつき、これを承認することができる。>

 JOCから支給される金品だけがOKになる理屈がよくわからない。また、大学の野球部には<選手又は部員であることを理由として>通常の入学試験を受けずに入学が認められた選手が大勢いるはずで、これは大変な利益供与だと思うが、金品でなければ構わないのか、という疑問も残る。

 このところメディアは特待生問題一色だが、そもそもの発端は西武の裏金問題。いくつか前のエントリでも書いた通り、根絶すべきはプロ野球から金品を受け取る指導者や父兄、あるいは進学時に選手と学校をつなぐブローカーの存在だったはずだ。野球特待生制度を力ずくでやめさせたところで、それらがなくなるわけではない。そもそも高野連の田名部参事自身が、かなり早い段階で、他の理由による奨学金なら構わない、という発言をしているわけで、抜け道はいくらでもある。
 高野連が目指しているのは、金品授受やブローカーの根絶ではない別の何かなのだろう。

 そもそも野球をするには金がかかる。他の競技に比べて用具が多い。グラブ、バット、スパイク、ユニホーム、それぞれ本格的なものは40代社会人の私でも気軽には買いづらい値段の商品だ。高校生のお小遣いの範囲を超えている。
 強豪校になれば練習試合の相手を求めて遠征もする。交通の不便な土地の学校なら、県大会に出場するための交通費も馬鹿にならないだろう(宿泊しなければならないケースもあるかも知れない)。それを選手とその家庭がすべて自前で負担しなければならないということになれば、野球部に入れない学生も出てくることだろう。
 高野連が今やっていることは、結果としてそういう学生を切り捨てることになる。

 それなら、プロが拾ってみたらどうですか。

 高野連が特待生制度廃止の方針をあくまで貫くのであれば、高校野球のありようは大きく変わる。現在のようにプロに近い水準の選手を育成する機能は大幅に減退することだろう。高野連にとって大事なのは「高校野球」であって、「野球」全体ではないのだから、幹部たちはそれでも構わないのだろう。
 だが、プロ野球にとって、あるいは日本野球全体にとっては、それでは困る。高校野球がハイレベルの育成機能を担わないのであれば、プロがやるしかないではないか。

 かといって、中卒の選手をいきなりプロ選手として雇ってしまうのがよいとも思えない(阪神の辻本賢人はどうしているだろうか)。Jリーグのようなユースチームを設けるのが適切なところだろう。

 高校生の年代で、野球の素質があり、将来はプロを目指しているが、経済面または別の理由から、高野連が理想とする高校野球界の中では野球を続けることが困難。そんな青年たちを対象としてユースチームを作る。
 選手たちは寮生活で、近くの私立高校と提携して全員を通わせる。寮費と学費は球団持ち、野球用具は支給される(まあ、全部球団持ちでなくてもいいかも知れない)。もちろん高校の野球部には所属しない。学業で一定の成績を残せない選手はチームでの活動停止などのペナルティを受ける。
 彼らはプロのコーチやトレーナーの指導のもと、身体能力や技術、判断力に磨きをかける。時にはプロ選手たちに混ざって練習をすることもできる。他球団のユースチームや社会人チーム、クラブチームと練習試合をする。参加資格が微妙だが、うまくいけば都市対抗の予選に参加できるかも知れない。
 野球がうまくなるための環境としては悪くない。
(もっとも、以前「プロ野球に二軍は必要か。」というエントリで指摘したように、プロ野球の育成機能は必ずしも高い実績を持たない。実現のためには、若年層の育成プログラムの開発について、本腰を入れて取り組む必要がある。まあ、このままいけば高校野球の優秀な指導者が働く場を失いかねないのだから、そういう人々を引き抜いてくるという手もあるのだが(笑))

 問題は、当然ながら卒業後だ。
 そのままトップチームに入団できる選手はよいが、全員がそうそううまく成長するわけではない。プロに進めなかった選手が、大学や社会人、独立リーグなどでプレーできる環境が整えられるかどうかが、この構想が実現するためのひとつの鍵になる。

 もうひとつの鍵は、もちろんドラフト制度だ。下部ユースチームの選手が、通常のドラフトの指名対象になり、自チームに入団できないのであれば、球団にとっては何のメリットもない。何らかの優先権を設定しなければならないが、それは現行のドラフト制度と矛盾する。優先権が強いものになれば、ユースへの勧誘段階で争奪戦が起こり、大金を積んで…という事態が再現される。ここが思案のしどころだ。完全ウェーバー制度という現在の方向とはまったく異なるベクトルが必要になる。
(私自身は、ドラフト制度を徹底させることよりも、入団後の流動性を高めることの方が、戦力と経営のバランスをとるには有効なのではないかと思っている)
 また、ユース育ちの選手がMLBに流出することに対しても、歯止めは必要になるだろう。

 というわけで、乗り越えるべき制度上の壁が結構大きいのは確かだが、それさえ乗り越えれば、なかなかよい仕組みではないかという気がする。
 これまで、日本のプロ野球にとって、若年層の育成というのは、ある種のタブーだった。いや、タブーと意識されていたのかどうかはわからないが、高校までは高校野球の領域、という縄張りが存在し、越境することに対してはアマチュア野球の側から強い拒否反応があった。
 だが、そのアマチュア側がここまで錯乱するに至っては、プロ野球が自前で若年層を育成することを、そろそろ本気で考えてもよさそうな気がする。

 たかだか12のプロ球団が数十人づつの選手を集めたところで、高校野球部員の数からすれば微々たるものだ。これが高校野球の存在を脅かすものになるわけではない。Jリーグ創設時に、各クラブに下部組織の設置が義務づけられ、ユースチームが発足した時にも同様の論議はあったが、現在は高校サッカーとユースは共存している(高校サッカーのレベルが低下した、という声はあるようだが、一方で大学サッカーのレベルは向上しているように見える)。選択肢が増えることは悪くないと思う。

 野球をしたい10代の青少年にとって何がベストなのか。ひいては、日本の野球にとって何がベストなのか。この件の根本に置くべき指針は、これに尽きる。
 高野連の爺さんたちの頭の中には、そういう考えがあるのかどうか。


*3日に高野連が発表した最終結果は376校。

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コメント

なるほど、高校野球がプロ野球の下部組織として組織できれば、健全な利益分配と育成の面からも好ましいですよね。現状の「契約金」という大金は、プロから指名を受けた一握りのスターのみにプロからの還元がなされるわけですが、育成の場である高校に対してきちんと資源が渡る形ができればいいと私も思います。

投稿: Jun | 2007/05/03 18:51

>Junさん
あ、ここで書いている話はちょっと違って、「高野連とは別の選手育成ルートを作ろう」ということです。
もともと私はJunさんが書いておられるような考えを持っていました(2つ下、6つ下のエントリはそれぞれそういう考えに基づいています)。しかし、高野連はどうやら逆行する道を選んだようなので、ならば高野連に頼らずにプロ選手を育てる方法はないのか、と考えてみたのがこのエントリです。

高野連の独裁的権力の基盤は、高校年代の野球選手を彼らが独占的に管理している、ということにあります(3日付の読売新聞に「『甲子園』を人質にとった、いわば脅迫だ」とどこかの私立校経営者のコメントが紹介されていました)。しかし、甲子園大会や高校野球部を経由せずにNPBやMLB入りするルートが生まれれば、権力基盤は弱まり、少しは現実に適応しようという気になるかも知れません。あるいは逆に「プロ入りする選手の育成はプロに任せて、高校野球はレベルは低くてもいいから清く正しくやっていこう」ということになれば、それはそれでよいのではないかと思います。その方が筋は通っていますし。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/05/04 10:17

毎度素朴なレベルのことを知らなくて申し訳ないのですが、高野連のトップとかその他の幹部とかは、どういう手続きで決まってるのですか。高野連というのは全国の高校の野球部が自分達のために作ってる組織なのかと思ってましたが、なんかぜんぜんそういうものじゃないようだ、と、今回初めて知りました。もしかして朝日新聞がすべて決めてるんでしょうか。今回(に限ったことではないのでしょうが)朝日新聞は一貫して高野連の対応を支持する論文を載せてますね。

投稿: nobio | 2007/05/04 23:30

「特定の球団」のユースチームではなく、プロ野球を構成する全球団で資金を出し合って複数のユースチームを運営するってのはどうでしょうか?

そういったチームのリーグ戦+高校との練習試合(シリーズ化して交流戦とか銘打っても面白し。)


で、現行ドラフトとは別枠のユースチーム対象のドラフト。完全ウェーバー制で。

投稿: orenama | 2007/05/05 00:36

>nobioさん
高野連の幹部がどう決まっているかは、私もよく知らないのです。会長は先代の牧野直隆氏が20年以上やってましたね。

高野連という組織そのものは、朝日新聞社が戦前に中学野球の全国大会(今の夏の甲子園)を始める時に作った組織がルーツです。当時の学生野球界の中心人物たちも関与しています。また学生野球憲章は、昭和初期に文部省が発令したいわゆる「野球統制令」を戦後に解除する際に、学生野球界が代わってその趣旨を徹底するために作られたようです(映画業界が映倫を設けて、国の代わりに猥褻表現を自主規制しているようなものでしょう)。

朝日新聞社は新渡戸稲造を立てて「野球と其害毒」というキャンペーンをやった4年後に中学野球の全国大会を創設しています。どう考えても無茶な話ですが(笑)、その無茶を糊塗して辻褄を合わせるために「(野球は放任すれば害毒だが)きちんと管理すれば野球は青少年の教育に役立つ」というロジックを編み出しました。野球害毒キャンペーンと文部省の野球統制令との間にどれだけの関係があったかはわかりませんが(内容的にはよく似ています)、そこにつながりがあるのなら、現在の特待生狩りに至る「野球と教育のせめぎ合い」は、朝日新聞社の壮大なマッチポンプという気もしますね。


>orenamaさん
こんにちは。

>「特定の球団」のユースチームではなく、プロ野球を構成する全球団で資金を出し合って複数のユースチームを運営するってのはどうでしょうか?

これは面白い手ですね。コミッショナー事務局が直営する野球スクールのような形をとればよいのかも知れません。どこの施設を使うのか、という課題は残りますが、現在のドラフト制度と整合をとる上では魅力的なアイデアだと思います。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/05/05 10:12

始めまして。愛読させてもらっています。
いつも念仏の鉄様の斬新なアイデアに感心させられることしきりなのですが、今回の「特待制度」に対する高野連側の改革案(?)とかお聞かせ願えたらうれしいです。
私個人としては「特待制度」含めた「越境入部(野球留学)」にもメスを入れたいところなので、「学区制度(本籍または現住所で決定される)」の強化をすべし!と思うのですが。

投稿: 素人丸出ノ助 | 2007/05/06 21:06

>素人丸出ノ助さん

こんにちは。
「特待制度」というのは、高校野球というより学校一般の問題として捉える性質のものだろうと思います。世の中全体に「教育機関にも競争原理を」とか「個性を伸ばす教育を」とかいう流れがある以上(それぞれの是非はひとまず措きますが)、野球部だけが逆行しようとしても難しいのではないかと。

「野球留学」についても、「都会の青少年が地方で高校の3年間を過ごし、地域の活性化に貢献する」のだと考えれば、山村留学の一変種とも考えられます(笑)。野球留学生たちを寮とグラウンドに閉じこめて野球ばかりさせておくのでなく、地元の人々と交流し、産業や伝統文化に触れるような機会を増やす方向で改善していけば、世の中にとっては結構ためになるんじゃないでしょうか。理想論ではありますが、現実にある流れがあるのなら、それを力ずくでせきとめるよりは、よい方向に流れを少し変えることの方が、容易で有益のように思います。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/05/07 13:30

高野連の驚き様に驚きました。 本当に知らなかったのでしょうか?
野球特待生とか良く聞きますし、大阪出身が鳥取や島根に越境入学とか、普通に新聞に載って居るのに、新聞を読んでいないのか・・・・

高野連の幹部の処分は無いのでしょうか? 

春の甲子園の参加高が入学前の生徒の家に、カンパの依頼が有ったりしましたが、この様な金銭の補助はどうなのでしょう? OK??

昔、どこかのプロチームが中学生を練習生の様な形で育ていた時期が有った様に記憶してますが、どうなったのでしょうか? 自分の勘違いでしょうか?

300高以上の違反高…、個人的には、まだ有るような気がします。 公立の学校でも野球特待生が有ったのには驚きましたが、、、
四国の学校では、特待制度が無くなると、殆どの野球部員が続けられない!と、学校側に親が伝えたとか・・・・

此れだけ多いと、皆で高野連から抜けて、別の組織を作って大会を行っても良いような気(と、言うより面白い!)がしたのは自分だけでしょうか?
別組織で何か問題でも有るのでしょうか? 

投稿: ○と | 2007/05/07 18:48

私も同じことを考えてました。強豪校20-30チームが抜ければけっこうみんな追随するんじゃなかろうか、とか、ごっそり抜けたら高野連といえども甲子園との契約を続けられないんじゃないか、とか、いや、逆に強豪校が抜けた「凡人球児たちの灼熱の甲子園」というのもちょっと興味ある、とか、いろいろ妄想が膨らみます。

投稿: nobio | 2007/05/07 19:51

あ、すみません。上の投稿は○とさんのおっしゃっている

>皆で高野連から抜けて、別の組織を作って大会を行っても良いような
>気がしたのは自分だけでしょうか?

についてのものです。

投稿: nobio | 2007/05/07 19:54

>高校野球はレベルは低くてもいいから清く正しくやっていこう」ということになれば、それはそれでよいのではないかと

同感です!
清浄な「神前奉納試合」がやりたければ、「それでいい」という学校だけ集めて、好きなだけ精進潔斎させてやればいいと思います。

あまりくどくどしくは申しませんが、甲子園大会を問答無用で特別視する(=「神聖視する」)ところに問題の根本があると思います。子ども(未成年者)が遊びでやっている(プレイしている)スポーツに、スポーツと関係ない精神性を負わせるのはいい加減に止めるべきです。

ついでにいうと「清浄であるべき高校野球」が極めて商業主義的に利用されているという実態について、当事者である高野連がまるで自覚していないようなのには、正直、驚いています。免罪符を売り出して恥じなかった教皇庁みたいですなぁ。

投稿: 馬場 | 2007/05/07 23:57

>○とさん
こんにちは。

>春の甲子園の参加高が入学前の生徒の家に、カンパの依頼が有ったりしましたが、この様な金銭の補助はどうなのでしょう? OK??

集めた金を応援団の交通費に充てるのなら、選手が受け取るわけではありませんから学生野球憲章には抵触しないのでしょう。ちなみに甲子園大会出場校の交通費・宿泊費は主催者が出していますが、これは学生野球憲章では例外扱いでOKです。私はかなり異常なことだと思いますが(高校スポーツの全国大会で、選手の経費丸抱えという競技が他にあるのでしょうか?)。

>昔、どこかのプロチームが中学生を練習生の様な形で育ていた時期が有った様に記憶してますが、どうなったのでしょうか? 自分の勘違いでしょうか?

高野連が権限を持っているのは、加盟高校の野球部員に対してだけですから、この場合は問題ないでしょう。その中学生が高校に進学して野球部に入ろうとすれば、資格を問われるかも知れませんが。

>此れだけ多いと、皆で高野連から抜けて、別の組織を作って大会を行っても良いような気(と、言うより面白い!)がしたのは自分だけでしょうか?
別組織で何か問題でも有るのでしょうか? 

問題があるとすれば、「甲子園大会に参加できなくなること」に尽きます。そこをどう考えるか、ですね。
blog「プロパガンダファクトリー」で党首さんが「第二高野連設立構想」http://blog.livedoor.jp/augustoparty/archives/50810966.htmlという興味深いエントリを書いておられます。


>nobioさん
野球部というものは学校および学校経営の一要素でしかないので、一連の高圧的な施策に嫌気がさした高校経営者の中から、高野連と縁を切ろうと考える人が出てきても不思議はないという気がします。MLB球団とアカデミー契約を結んで指導者を招聘し「メジャーリーガーへの道を応援!」などと売り出す学校が出てきたら面白そうです。


>馬場さん
>子ども(未成年者)が遊びでやっている(プレイしている)スポーツに、スポーツと関係ない精神性を負わせるのはいい加減に止めるべきです。

「スポーツ=遊び(プレイ)」という考え方が絶対的な真理であるとも思えませんし、国旗掲揚・国家独唱によって始まり、試合途中で「GOD BLESS AMERICA」が流れるMLBも神事に近い側面を持っていると言えなくもない。
サッカークラブとサポーターたちを部族間抗争に例えたデズモンド・モリスの「サッカー人間学」を引くまでもなく、さまざまな精神性・宗教性を抱え込みやすいのもスポーツのひとつの性質なのであり、そこを「関係ない」と言い切って排除しようとすれば、かえって物事が見えなくなるように思います。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/05/08 01:58

そうですね。奥州のサッカーは「民族対抗戦」だし(笑)。
大相撲は「神事」だと自ら公言して、女性を絶対に土俵に上げません。私はこういうふうにそのスポーツのアイデンティティとして宗教的なものを主張することは否定しません。(「どこまでそれにこだわるべきか」については大いに議論すべきだと思いますが。)
甲子園大会について問題なのは、「宗教性」が注意深く隠されていることです。甲子園大会の超過密日程、健康に悪すぎる開催時期等は、スポーツ行事としては合理的な説明が不可能です。(「選手を壊し続ける」スポーツ大会などというものがあってよいはずがない。)まさしく「犠牲」を要求する宗教行事としか説明のできない態のものなのですが、そのことが巧みに隠されてしまっている。単にスポーツをするつもりで(あるいはテレビに映りたくて)入ってきた子どもを、結果的に騙していることになってないか。そのことが、いちばん気になります。

投稿: 馬場 | 2007/05/08 16:37

こんにちは。

暫く高野連の対応を見ていて、ここまで時代錯誤で剛直な組織とは思いませんでしたが、その対応にプロ側のリアクションが大して無い(ように見えるだけ?)のには本当に驚かされました。
選手の育成をアマ側に託している以上、今回の高野連の対応は、将来的にプロ選手の「質」に多大な影響を及ぼすのは自明にもかかわらずです。

シーズン中だからなのかも知れませんが、本エントリー案を含めた何らかの動きに期待したい所です。

裏金に端を発したことでしたが、野球を傍観している立場から見ても今の野球界の差配にはあまりに危機感が無さ過ぎるように見えて怖いくらいです。
まさか「終わりのはじまり」じゃないですよね。

投稿: hide | 2007/05/09 18:07

>馬場さん
馬場さんは甲子園大会が話題に上るたびに、その宗教性を強調しておられますが、あまり潔癖になりすぎるのも、それはそれである種の宗教性のように見えてしまうのですが(笑)。


>hideさん
高野連のやることに口を挟むという行為は、プロ野球側にとっては非常に強いタブーになっているのではないかと思います。「甲子園を人質に」という高校関係者のコメントを紹介しましたが、プロに対しては選手を人質にしているわけで。

実際、3月ごろには「希望枠を廃止しなければドラフトを拒否する」と田名部参事は言っていました。そんな権利がどこにあるのかと思いますが(プロ志望の卒業生にとっては就業機会を妨害され1シーズンを棒に振ることになります)。そんなふうに高野連が騒ぎ立てることが予想されるから、ユース制度などというものも誰も本気で検討したり論じたりはしなかったのでしょう。

これを本気で実施しようとすれば、プロは高野連と深刻な対立関係に陥る可能性があります。だから私も以前「二軍廃止論」を論じた時には、高校卒業後の育成だけを対象に考えていましたが、ここまでくると荒療治をした方がいいんじゃないかという気がしてきました。ただ、プロ側にそんな不退転の決意と結束とビジョンを必要とするプロジェクトを推進することができるのかどうか。

そういえばジャイアンツは今年から小学生向けの野球スクールを作っています。ひょっとして将来、高校年代のチームに発展させることを視野に入れているのだとしたら、大したものだと思います。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/05/10 19:13

はい、私は頑迷な「甲子園=宗教行事」論者です(笑)。
そういう私にとって今回の高野連の錯乱ぶりは持論を論証する絶好の機会でありましたので、嬉しいのなんの(笑)。

で、原理系「甲子園大会宗教行事」論者としては、今回、高野連に宗教者らしい独善と硬直と時代錯誤を遺憾なく発揮していただくことができ、大満足です。おかげさまで「甲子園は宗教行事だ」と説明したら、「なるほど!」と言ってくれる人が増えました。(昔はヘンな顔をする人の方が多かった。)

「スポーツマンの皮をかぶった宗教者」が、その偽善性を世間から指弾されるようになったというのも時代の変化ですねぇ。
おかげで高野連もすっかり腰くだけのようで↓
「野球特待生、処分を緩和 暫定奨学金認める 高野連」
http://www.asahi.com/sports/update/0510/OSK200705100081.html

このぐらいの「法難」に負けちゃうようでは、宗教者としては情けないですね。あ、もともと本人たちが「宗教者」と思ってないか(笑)。
失礼いたしました~。

投稿: 馬場 | 2007/05/11 09:10

関連情報です。
自民党の「高校野球特待制度問題小委員会」が、「特待生制度を認めるよう求める提言をまとめ、脇村春夫高野連会長に手渡した。」そうであります。
http://www.jamp.jiji.com/u05/kiji/view/20070623000181/mail.html
「自民党」が、こういうことにまで意見を言うのか、と正直驚きましたが、高野連もこれを受けて「近く第三者機関を設置する考えを表明し、野球憲章の見直しにも前向きに応じる姿勢を見せた」のだそうです。
文科省の「振り付け」なのかな、とも思いましたが、ともあれ高野連も「変わる」方向に踏み出したようです。

投稿: 馬場 | 2007/06/25 17:25

>馬場さん
この自民党の提言ペーパー、実物がネットで読めますが、かなり踏み込んだ内容になっていて、ちょっと驚きました。
http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2007/pdf/seisaku-013.pdf

<日本高野連が行う加盟校に対する処分や通達は、今日、ともすれば強権的な印象を受けることがあり><野球界の発展に必ずしもプラスになっておらず><むしろ日本高野連のこれまでの指導不足こそ問われるべきとの意見が出された>
<これは日本高野連の「甘え」や「驕り」からきているのではないかという厳しい意見もあった>
<役員(理事)の構成に偏りがあるのではないかという意見、甲子園大会を主催する高野連として、大会の経理について、かりそめにも国民から不信感を招くようなことはあってはならないという厳しい意見もあった>
<高校野球の全国大会も高体連が共催すべき、また、組織としても高体連と一元化すべきとの意見があった>
<今回のような問題が起こったのは、野球関係団体がプロ、社会人、学生に分かれていて、それぞれ独立して運営されていることにも原因があるとの指摘があった>

もう言いたい放題ですが、高野連にとって痛いところをずばずばと突いているように思います。そして締めくくりの言葉がコレ。

<子どもたちの才能の発掘・育成支援の在り方について、文部科学省の指導の下、野球関係団体が一堂に会し、共通認識を図るための話し合いの場を設けるべきである。さらには、将来的に統括団体の設立も視野に入れた話し合いが進められることを期待したい。>

内容がまっとうなだけに厄介ですね。この<文部科学省の指導の下>という一言が。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/06/25 23:43

自民党小委員会報告、読みました。
自民党が、というところが意外な気がしましたが、でも、「自民党だから」、「高野連たたき」をするのかもしれないなぁとも思いました。たぶん、自民党にとっては高野連=朝日新聞なんでしょうから。
それにしても自民党はやっぱり高校野球の「地域性」には強くこだわるんですねぇ。

投稿: 馬場 | 2007/06/26 17:47

>馬場さん
>たぶん、自民党にとっては高野連=朝日新聞なんでしょうから。

<役員(理事)の構成に偏りがあるのではないか>なんていうくだりは、たぶんそういうことなのでしょうね。もともと政府の干渉を防ぐための自主規制として作られたはずの学生野球憲章を、過剰に遵守したために政府の干渉を招いてしまったというのは皮肉な話ですが。

投稿: 念仏の鉄 | 2007/06/26 23:27

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