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2007年10月

「待たされた方の負け」は今年で終わりにしませんか、NPBの偉いさん。

 日本テレビが勝利監督インタビューの途中でさっさと中継を打ち切ってしまったので断定はできないのだが、中日はクライマックスシリーズを全勝で通過し、日本シリーズへの出場権を獲得しても、落合監督の胴上げをしなかった(少なくとも、試合終了直後には)。選手がみなベンチに引き上げ、インタビューに呼び出されるまで、落合はグラウンドに出ようとはしなかった。
 たぶんこれは落合監督の意思なのだろう。もともとパ・リーグがプレーオフ制度を導入した時から批判していた彼のことだから、勝っても胴上げをしないことでレギュラーシーズンに敬意を示したのではないかと思う。

 第3戦は決着が懸かっていたこともあって終盤まで盛り上がったが、9回裏、先頭で出塁した大道の代走で一塁に立った古城の馬鹿げた走塁ミスがジャイアンツの希望に冷や水をかけた。第2ステージを通して見れば、ジャイアンツ打線は中日の投手陣の前に封じ込まれ、投手陣はここぞという場面で打ち込まれた。得意の空中戦でも及ばなかったのだから、そこまでの力量だったのだろう。ファンとしては、そう思うほかはない。

 それはそれとして、プレーオフ制度としては、またしても「待たされた方の負け」という結果になった。
 現行方式の下で行われたパ4回、セ1回のプレーオフ、および3回の日本シリーズにおいて、「待たされた方の負け」の陥穽を免れたチームは北海道日本ハム(2度)だけだ。
 これほど偏った結果が残っているのだから、もはや、「待たされた方が不利」という推測は事実とみなしてよさそうに思う。NPBはそろそろ首位チームの日程上の不利を解消することに本気で取り組んでもいいんじゃないだろうか。
 幸い、両リーグの足並みが揃ったことで、日本シリーズにおいては従来ほど大きな差はなくなった。とすれば、次の改革へのステップを考えてもよい時期だろう。

 贔屓チームが負けたからそういうことを言い出すのか、と言われそうだが、この件に関しては以前から気になっていて、2年前にもこのblogでかなり突っ込んだ議論をしている(<待つ身はつらい。>および<今年できたはずのプレーオフ改革。>)。
 私が思いついたもっともシンプルな解決策を<今年できたはずのプレーオフ改革。>から再録しておく。両リーグのペナントレースを最終日を決めて一斉に終了し、2日後から第1ステージを開始、終わったら即座に第2ステージに移る、というものだ。具体的には次のようになる。

0日目 リーグ最終日
1日目 プレーオフ開催準備
2日目 第1ステージ第1戦
3日目 第1ステージ第2戦
4日目 第1ステージ第3戦
5日目 第2ステージ第1戦(以下略)

 今年のジャイアンツには14日間の空白があったが、これなら4日で済む。5日目を休みにして6日目から第2ステージを始めるくらいでもいいかも知れない。
<第1ステージから勝ち上がるチームにとってはタイトな日程になるが、1位チームにさしたるアドバンテージがないのだから、そのくらいのハンデがあってもいいだろう(初戦から連勝すれば4日目は休めるし)。シーズン中でも6連戦くらいは普通にやっているのだから、過重な負担になるとは思えない。>と当時は書いたが、今でもこのくらいが妥当だと思っている。

 そんなに準備期間がなくて営業が間に合うのか、というのは当時ひっかかった課題のひとつだが、この2年でチケットのネット販売はだいぶ普及したのではないかと思う(単に当時の私が知らなかっただけかも知れないが)。e+ではすでにジャイアンツと中日が主催する日本シリーズの先行販売受付を終えている。ぴあやe+などのチケット販売サイトでは、ネットで申し込んでカードで決済、発券はコンビニで、というシステムが出来上がっている。これなら短期間でもチケットをさばくことは可能だろう。現にMLBでは何年も前から普通にそういう日程でプレーオフをやっていて、どの試合もよく入っている。

 ちなみに私の手元には、そのようにして購入したクライマックスシリーズ第2ステージ第4戦のチケットがある。そして、試合終了から1時間も経たないうちにe+から「払い戻しのお知らせ」と書かれたメールが届いた。
 ここまでの論旨からすると、この手回しの良さを讃えるべきなのだろうが、今の私には、どちらかというといまいましい。せめて一晩くらい待ってから言ってこいよ、という気分だ。もちろん、e+に非があるわけではないのだが。


追記(2007.11.1)
VIP系というのだろうか、いろんなサイトにリンクを張って紹介するサイトのひとつに、このエントリがリンクされて、こんなコメントがついていた(10月30日分)。
まあ、わからなくもないですが。
今回の日本シリーズぐらいはまじりっけなしのストレートな視点で見て欲しいですねえ。
これで「日ハムが待たされたから負けたんだ」とかになったら胸糞悪いですよ。

人の書いたものをあれこれ言うわりには、トラックバックも送ってこなければコメント欄もないので、ここで感想を述べることにする。
私はエントリ中に「両リーグの足並みが揃ったことで、日本シリーズにおいては従来ほど大きな差はなくなった。」と書いている。事実、今年についていえば中日と日本ハムの差は2日しかない。従って、日本シリーズについて「日本ハムが待たされたから負けたんだ」などと主張するつもりは毛頭ないし、してもいない。
こちらが書いてもいないこと(そして、論旨が読み取れさえすれば、そうでないと推論できること)について曲解されて「胸糞悪い」などと書かれるのは、とても胸糞が悪い気分だ、と申し上げておく。

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公式戦を引退試合にするのは、あまり感心しない場合もある。

 やっぱり釈然としない。
 本日発売の週刊ベースボール10/22号を読みながら、改めて、ううむ、と唸ってしまった。
 表紙にでかでかと記されている「ジャイアンツV奪回!」や「高校生ドラフト総決算」のことではなく、後ろのカラーグラビアで特集されている「有終の美 引退試合」の方だ。
 前の(書いたのはずいぶん前だが)エントリに記したヤクルトの古田敦也と広島の佐々岡真司が、それぞれ本拠地最終戦に出場し、ファンに別れを告げた。
 試合後にセレモニーをして彼らがファンに挨拶をするのは当然のことだ。彼らが最後のプレーをファンに見せるのも自然な人情だし、ファンだって見たいと思う。
 ただ、今回の両者のやり方については、どうにも釈然としない思いが残る。特にヤクルトの側が。

 ヤクルトが本拠地・神宮球場での今季最終戦を迎えたのは10月7日。相手は広島だ。この試合が始まる時点で、両者は59勝82敗、ぴったり並んでリーグ最下位にいる(広島は他に2引き分け)。勝った方がこの時点で最下位を脱出するという試合だ。広島にとってはこれが今季最終戦でもある。ヤクルトは2試合を残している。どちらにとっても、リーグ最下位を免れたいのであれば、是が非でも勝ちたい試合だ。

 その試合に、ヤクルトの古田監督は、今季ここまで8試合にしか出場できなかった古田捕手を五番打者として先発出場させた。打撃はともかく、右肩の故障でシーズンの大半を棒に振り、引退を決めた老捕手に、盗塁阻止は期待できない。
 現実に一回表に2点を先制された2死一塁から、今季ここまで3盗塁しかない嶋に二盗を決められている。続く梵のセンター前ヒットで嶋はホームイン。梵は次の広瀬の初球にまた二盗。最下位脱出の懸かった試合で、ブラウン監督は遠慮なくヤクルトの弱点を衝いた。

 打者・古田は4打数無安打。うち3度は走者を置いて打席に立ったがチャンスを生かせなかった。
 監督・古田は、古田捕手のスタメン起用のほかにも面妖な采配を見せている。その最たるものが、青木を四番に据えたことだ。まあ、今季は20本塁打を打って長打力も見せているし、お前が今後のヤクルトを背負ってくれ、というメッセージなのかも知れない。
 青木自身は3打数2安打1四球とまずまずの結果を残したが、3度の出塁のうち2度は二死からで、ホームを踏むことはできなかった。その二死からの出塁はいずれも二番打者・ガイエルがソロ本塁打を打った後。まるっきりの結果論だけれども、一番・青木、四番・ガイエルという普通の打順なら、もっと点が入っていたかも知れない。ちぐはぐな印象は否めない(漫画『ドカベン』で、対戦相手から初球ど真ん中を予告され、山田太郎を一番打者に起用した明訓高校が、プレーボール本塁打で先制したものの、その後の展開に苦しむというエピソードを思い出す)。
 投手起用では、先発専門の石井一久を8回にリリーフ登板させ、広瀬に本塁打を打たれて失点している。
 要するに、監督・古田は、選手・古田の引退試合であることを意識した特殊な選手起用をいくつか行い、それらはマイナスの結果に結びついた。

 その夜のスポーツニュースや翌朝の新聞では、誰もそんなことを気にしている様子はなかったし、テレビのニュース映像で見る限りでは神宮球場のファンも気にしていないようだ。
 ヤクルトは今日10/9の横浜戦に勝って今シーズンを終えた。最終成績は60勝84敗で最下位。5位の広島とは1ゲーム差。カープに1試合勝っていれば最下位は免れたことになる。
 古田は現役引退と監督辞任を発表した記者会見で「(最下位という結果は)球団史の中でも非常に悪い出来事」と話していたが、その後、そこから脱出するチャンスがあったにも拘わらず、古田選手の引退興行を優先したわけで、いささか一貫性を欠いていたことは否めない。

 同じ試合で広島も佐々岡を登板させている。その前日、広島の本拠地最終戦でも佐々岡は投げている。10点をリードした最終回という、勝敗にはほぼ無関係な局面だった。選手たちが佐々岡のために花道を作ってあげたといってもよい。
 対戦相手の村田は佐々岡から本塁打を打った。空気の読めない奴、という空気が広島市民球場には漂ったことだろう。しかし、この村田の今季36本目は、ウッズ、高橋由伸と35本で並んでいた本塁打王争いから一歩抜け出す重要な1本となった。一打席たりとも無駄にできない村田が全力で打ちに行くのは当然だし、逆に言えば、そんな局面で佐々岡を投げさせたカープは、ウッズや高橋に対して非常に失礼なことをしたとも言える。

 だいたい言いたいことはご理解いただけただろうか。
 レギュラーシーズンの本拠地最終戦で、スター選手がファンに最後のプレーを見せることを、一概に否定するつもりはない。むしろ賛成だ。
 だが、それが順位争いやタイトル争いの行方に大きく影響してしまうようなことは、できるだけ避けるのが節度というものであり、野球に対する敬意というものではないだろうか。
 堅苦しいことを言えば、10/7の古田監督の采配は、敗退行為の疑いさえ生じるようなものだったと私は思う。Jリーグでベストメンバー規定に関する議論が白熱しているのと比べて、プロ野球界の何とおおらかなことか。

 選手が最後のプレーを見せる試合を「引退試合」と呼ぶことにも、私は抵抗を感じる。かつて「引退試合」というのは、公式戦とは別に行われるエキジビションマッチのことではなかったか。確か昔は野球協約で正式に位置づけられており、収益の一部を選手に贈るという習慣もあったと聞いた気がする。
 このような過去の美風にのっとり、選手がファンに別れの挨拶をする場は、基本的にはシーズン終了後に設けられるのが妥当だと私は思っている。どの球団も11月ごろに「ファン感謝デー」のような催しを開いているし、古田クラスの名選手であれば、独立した引退試合が開催されて然るべきだと。

 調べてみたら、はてなダイアリーのキーワードとして引退試合について詳しくデータが示されていたのでご参照いただきたい。野球協約の規定についても末尾の注に記されている。
 この表を見ていて思い出したのだが、2001年に長嶋茂雄がジャイアンツの監督を退いた時にも本拠地最終戦でセレモニーが行われた。この試合では、この年限りで引退する槙原寛己、斎藤雅樹、村田真一の3選手も出場し、合わせてセレモニーに登場した。
 本拠地最終戦とはいえジャイアンツはこの時点でまだ試合を残しており、リーグ優勝の可能性もわずかながら残っていた。だが長嶋の挨拶に「今季優勝して最後を飾りたい」という類いの言葉はなく、まだ終わったわけじゃないのに、こんな終戦ムードにしてしまっていいのか、という疑問を当時も覚えたものだった。
(ちなみに長嶋茂雄の現役引退セレモニー、「我が巨人軍は永久に不滅です」という有名な挨拶も、公式戦でのものだった。彼は最後までレギュラーだったから、試合にスタメン出場していたこと自体は不自然ではなかったが)

 この種の引退興行は、基本的にはファンのためのものだ(球団にとっても、消化試合が満員にできるという興行上のメリットはあるだろうけれど)。
 結果として順位が少々下がろうとも、ファンが喜んでるんだからいいじゃないか、と言ってしまえばそれまでのことだ。
 だが、ファンサービスという近年の「錦の御旗」が、なし崩しにゲームそのものに侵入していくようなやり方は、私は好きになれない。どこかで一線を引かないといけないんじゃないだろうか。
 あの新庄だって、試合が始まればカブリモノはしなかったんだし。


追記(2007.10.10)
村田は結局36本塁打でシーズンを終え、佐々岡から打った本塁打によって初の本塁打王となった。
念のため記しておくが、私はジャイアンツファンで、ジャイアンツが一足早く全日程を終了した後は、今年の高橋由伸が初タイトルという形で報われることを(可能性がほとんどないと知りつつ)願っていた。

追記2(2007.10.12)
古田は、シーズン終了後に高津が戦力外通告を受けたことについて、球団に対し「プロ野球記録保持者(通算286セーブ)が退団するのにファンにメッセージを届ける場所もない。ファンだって彼に伝えたいことはあるはず」と苦情を伝えたという。
だが、そういうことのためにファン感謝デーというイベントがあるのでは? 球団が感謝デーへの高津の参加を拒否したとかいうならまた別だが(もっとも、ヤクルトの鈴木球団社長という人のこの件に関するコメントも、意味はよくわからないが冷淡さだけはよく伝わってくる。古田がつい一言いいたくなるような背景があるのかもしれない、とは思う。また、「相談も打診もなしに、いきなり戦力外通告とは、実績ある投手に対して失礼ではないか」という話なら理解できるのだが)。

追記3(2007.10.12)
今週発売の週刊サッカーマガジン10.23号の巻末コラム「ピッチのそら耳」で日経新聞の武智幸徳記者が、川崎フロンターレのベストメンバー問題(御存知ない方にはこちらがわかりやすいです)について、次のように書いている。

<Jリーグが一番恐れるべきはすべてが「なあなあ」になってしまうことだ。仮に昇格降格を懸けたリーグの終盤戦で優勝とも降格とも無縁のチームが、残り3節くらいから「来季を見据えて」若い選手を大量に使ったり、逆に引退が決まった選手の“花道”代わりに試合を使ったりしたらどうなるか。そうした選手起用が勝敗を分け、ひいては昇格降格にも影響を与えたとき、サポーターは不信や怒りの塊になるだろう。>

プロ野球では、これに類したことが当たり前のように行われてタイトル争いに影響を与えているが、ファンは特に気にしているようでもない、というのが現状。
ちなみにJリーグでは、一定の基準を満たした有力選手の引退に際しては、その選手が所属したクラブのOBや同世代の著名選手などが参加して、引退試合が行われる。古田も11月下旬か3月上旬ごろに<ヤクルトオールスターズvs古田フレンズ>なんて引退試合を組めば、相当な観客を集められるのではないだろうか。

※シーズン後の引退試合に関するくだりを一部加筆しました(2007.10.13)

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