で、東京は五輪招致活動を続けるのだろうか。
2016年の五輪開催地に東京が選ばれなかったこと自体は、招致活動が始まったころから予想していたので驚きはない。落選を伝えるニュースの中では「北京の翌年では早すぎた」とか「『なぜ東京か』が見えなかった」などと敗因が語られているが、それらは立候補して計画書が発表された時点からわかっていたことだ。
結局のところ、リオデジャネイロにおける「南米初の五輪」という単純明快なアピールポイントに勝る何かを、東京の招致活動に当たった人々は、提示することができなかった。
最後は「環境」にポイントを絞ったようだが、すでに94年の冬季五輪で「環境に配慮したオリンピック」を掲げたリレハンメルが選ばれており、夏季大会はシドニーでも北京でも「環境五輪」をアピールしている。もはや環境に配慮するのは当然のことで、スローガンとしてのインパクトはない(だいたい、調査団にお台場の予定地を見せておいて「環境に優しい大会にします」と言っても説得力はなさそうだ。ま、お台場における環境改変はすでに終わっているので、そういう意味ではあの上に何を作っても「自然破壊」ではないだろうけど)。
石原慎太郎都知事は、都庁サイト「知事の部屋」内の「都民のみなさんへ」というページで、先月初め、次のように語っている。
<誰が何を考えているか、本当にわからない。そういう点でね、まあやっぱり、どういうんでしょうかね、できるだけ冷静に、選手のためを思ってね、競技の進行がスムースに行って、安全に行われて、しかもそのための環境が整備されたりしないかってことは、あちこちのオリンピックを主催してきたIOC(国際オリンピック委員会)の連中ですから、そういう経験踏まえてね、冷静に正確に判断してもらいたい。それならば私は東京は自信を持っていいと思うんだけど、なかなかそうも言い切れない戦いだけに、非常に先が読めなくて、最後の努力をすべくコペンハーゲンに参りますが、これは、まあ、みなさんもひとつ応援に来てくださいと済むところじゃありませんから、日本で祈っててください。>(9/11更新分)
財政、設備、運営技術、安全性といった面で、東京(あるいは日本の主要都市)に充分な開催能力があることは、おそらくIOC評議員の多くが理解していることだろう。だが、五輪開催地はそれだけで決まるものではない。北京で五輪が開催されたことも、単一競技の大会ではあるがサッカーのワールドカップが南アフリカ共和国で開催されることも、石原都知事が言うような面だけではない別の理由によって決まっているはずだ。
それを広い意味でいえば「政治」である。長年政治家として生きてきた石原都知事がそれを理解していないというのは解せない。ついでに言うと、「南米で初の五輪を!」という単純で骨太の呼びかけが、どれほど理屈抜きで人の心を動かす力を持っているかについて、政治家より長く文学者として生きてきた石原慎太郎が理解していないらしいことも解せない。文学者というのは人の心を動かす専門家ではないのだろうか。
と、都知事に対する嫌味はこのくらいにして、少しこの先のことを考えてみたい。
終わった途端に2020年五輪の招致を話題にする向きもある。引き続き2020年の立候補を目指すかどうか、JOCはまだ態度を明らかにしてはいない。
今回の尽力を無駄にしないためにも続けて立候補することが大事だ、という考え方はあるだろうし、実際、続けて立つことで開催を勝ち取った例もある。「北京が終わったばかりなのに」という印象も、次回にはいくらか薄れるだろう(それでも、アジアでは1964東京、1988ソウル、2008北京で20-24年周期という過去の実績に比べると、まだ早いのだが)。
ただし、立候補するのはJOCではない。招致活動の主体はあくまで都市にある。
だから、まず問題になるのは、東京都が引き続き次回を目指すのか、ということになる。
都知事にとって、この落選の最大の問題は、150億円と言われる招致費用が無駄に終わった事実だ(150億全部が都の出費かどうかは知らないが)。
現地での記者会見では、さっそく責任問題や辞意の有無を問う質問もあったと伝えられた。
辞職については本人が即座に否定したようだが、私も辞職を求めようとは思わない。東京が国内候補地に決定した後に都知事選挙が行われて再選(三選)されたのだから、彼は「都民の信任を得た」と主張することができる。
しかし、それでもこの落選が大きな失敗であることに変わりはない。7月の都議選で与党が過半数を割ったこともあり、今後の議会運営は非常に厳しいものになるだろう。
石原は前回の当選時に4選への不出馬を表明しているが、任期は2011年4月まで続く。
2020年五輪の国内候補地選考が前回の4年後だとすると2010年。来年だ。都はすぐにでも方針を固めなければなるまい。だが、議会はそれをすんなり認めるだろうか(そもそも都は他にも難題をいくつも抱えている。都民にアピールできそうな唯一のテーマが五輪誘致だったのだが、それもこの落選で難題に転じた)。
この落選を経験した都民が、次の機会にどのような態度を示すかも、まだ予測がつかない。関心の薄かった都民にとって、この落選によって五輪招致が「悲願」に転じるのか(サッカーのワールドカップ出場が93年のいわゆる「ドーハの悲劇」によって国民の悲願に変わったように)。あるいは、そんなものに金をつぎ込むよりも今の生活を何とかしろ、と反発を抱くのか。
そして、東京以外の都市の立候補となると、さらに事態は難しいように思える。
第二の都市である大阪も財政状況は厳しいし、他の都市となればなおさらだ。オリンピックのような巨大プロジェクトを立ち上げる余力がそもそもない。
そして、2016年の国内候補地選定において、JOCが福岡に対してどのような態度をとったか、そして破れた福岡の首長が市民にどう遇されたかを、各自治体の長たちは見ていたはずだ。それでも立候補しようという都市が現れるのかどうか。
ま、現名古屋市長あたりなら、言い出しかねない気もするのだが。
落選決定の翌日の報道を見ると、石原都知事の責任を論じる記事は散見するが、JOCに対する批判はほとんど見当たらない(石原都知事と竹田会長ではニュースバリューというか、ありていに言えばスター性にかなりの差があるという事情もあるのだろう)。
だが、日本の落選の原因に、報道されているような「顔が見えなかった」「世界的スターの不在」があるのだとしたら、JOCの責任は大きい。プレゼンテーションで登壇した室伏広治や小谷実可子には失礼な言い方になるかも知れないが、あそこに北島康介や浅田真央が立っていたら、そんな問題はなかったはずだ(あるいは、村上春樹が登壇すれば相当なインパクトだったかも知れない。JOCにそんなことが可能かどうかは知らないが)。
そもそも「去年、北京でやったばかり」の2009年に選考が行われるとわかっていながら国内で立候補を呼びかけたのもJOCだ。JOCがなぜ2016年の五輪招致活動を始めようと思ったのか、私にはいまだに合理的な理由がみつからない。
私は東京五輪の計画に関して<東京のために五輪を利用しようという意図が目立ち、五輪のために何ができるのかという感覚が希薄>と批判したことがあるが、都市側がスポーツ界の事情や感覚からズレているのは、ある程度は仕方ない(コミュニケーションの達人であるオバマ大統領でさえ、「近所で五輪が開かれれば嬉しい」みたいな演説をしているのだし。もっとも、滞在時間などを見ても、彼にとって今回の招致活動の優先順位はさほど高くなかったようだが)。
だからこそ、スポーツ界の住人であり、IOCの一員であるJOCが、その不備を補うことが必要だったはずだが、それは充分に果たされなかった。
東京都知事には議会での質問が待っている(五輪招致に不満だとか、2020年招致に反対だという都民の皆さんは、地元の都議に陳情してネジを巻きましょう)。
だが、JOCにはそのように、外部の第三者の目で検証される場がないし、そもそも内情もよく見えない。報道機関各位には、都知事に責任を問うのはひとまず都議会に任せて、JOCにこそ、じっくり総括を迫ってもらいたい。
追記)2009.10.4
石原都知事は帰国後の会見で敗因について語り、「政治的なもの」について言及したらしい。
<同知事は「目に見えない歴然とした政治的なものが絶対にある。昔の自民党の総裁選みたいなもの」とし、IOC内の力学で落選したとの認識を示した。>時事通信10月4日15時12分配信
ここで都知事が言っている「政治」とはおそらくIOCの幹部や評議員の間の力関係ということだろう。「政治」というよりは「政局」に近い。私がエントリ本文中で「政治」と書いた時に想定していた概念はもっと広いものだが、ま、別に一致しなくてもよい。
それにしても、政治を職業とする人物が、「政治的なもの」における争いに敗れた、と公言して恥じる様子もない、というのは奇妙な光景である。「政治的なものが絶対にある」って、そんなことも知らずに立候補して150億円も使ったのかこの人は。
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コメント
オリンピックを開催してなお、CO2の吸収量が排出量を上回るという話でしたね。その上オリンピックが無しになったのですから、もう大気中の CO2減りまくりですよねー、きっと。
投稿: nobio | 2009/10/03 18:35
>nobioさん
日本のプレゼンの後で、IOC評議員の誰かが「我々は国連じゃない」という感想を洩らした、という話が伝えられてますが、ま、そこを頑張ってアピールしてもあまり票にはならない、ということだったんでしょうね。
ただ、一回目の投票結果はなかなかの健闘で、そこから考えるとプレゼンそのものは悪くなかったのかも知れません。
投稿: 念仏の鉄 | 2009/10/04 20:39
こんばんは。こちらは以前から覗いておりましたが、コメントははじめましてです。
2016年五輪、東京の落選はほんの少しだけ残念ですが、ホッとしました。
五輪のためにすることというなら選手強化(メダルを獲得できる選手を育てること)をより進める方が招致云々より早く成果が見えるしよっぽど現実的だと思ったりします。
平昌が2018年の冬季五輪開催地に立候補しているので、隣国として協力する等、そういう方向にいかないものでしょうかね?
(そうすれば、強化合宿等も行ないやすいとかなるかも?って素人考えでしょうか…)
投稿: hiroko | 2009/10/05 22:48
1回目の投票は地域性が大きく影響して地元地域を応援する、という話が本当であれば、東京の健闘もシカゴの落選も納得が行く話ではありました(無論、大阪のような惨敗は無かったので、ある程度の説得力はあったと思います)。まぁ最終投票の後の、謎の空白1時間や演出を見るに、最初から過半数票を出す気はサラサラ無さそうでしたが(笑)
スポーツにおいても誘致とか「何かの権利を通す」ことに関しては政治力が必要ですが、簡単な話じゃないとはいえ、何度痛い目を見ても同じ失敗ばかり繰り返しているのではないか、というのが歯がゆいです。
投稿: アルヴァロ | 2009/10/05 23:23
>hirokoさん
こんにちは。
>五輪のためにすることというなら
確かに、建前の目的と実際にやろうとしていることの乖離は感じます。
日本のプレゼンの最初に出てきた15歳の女の子が「スポーツができる環境がなくなるのではないかと心配です」と訴えていたけれど、東京で五輪を開催したところで巨大なハコモノができるだけで、彼女や友達がプレーできる場所が増えるわけではないですしね…。
>平昌が2018年の冬季五輪開催地に立候補しているので、隣国として協力する等、そういう方向にいかないものでしょうかね?
サッカーにおいてはその種の協力も成り立ちそうな関係が両国協会の間にできつつあるように思いますが、NOCどうしではどうなのかな。
韓国はかつてIOCに金雲龍という副会長を送り込んでいましたが、その後、汚職などで失脚しました。山下泰裕さんが国際柔道連盟の理事選に落選したのも、日本が支持していた韓国人の前会長がスキャンダルで失脚したことが背景にあったようです。
というわけで、韓国は国際競技団体での政治力は日本よりずっと強いけれど、裏で悪いことをやってるケースもあるので、迂闊に組むと共倒れするんじゃないかという怖さもありますね。
>(そうすれば、強化合宿等も行ないやすいとかなるかも?って素人考えでしょうか…)
時差がほとんどないので、直前合宿を国内でできるというのがメリットでしょうね。欧米諸国の中にも、日本で合宿をする国が出てくるかもしれません。それはそれで楽しそうだな。
>アルヴァロさん
マドリードの健闘やシカゴの落とされ方を見ると、やっぱりIOCはIOCの論理で動いている、という印象を受けますね。放映権を背景に要求をごり押ししてくるアメリカが嫌いで、「私も89歳で残された時間が少ない」とサマランチに泣き落とされると投票しないわけにはいかない、という(サマランチは出身地のバルセロナに見事に我田引水してのけたというのに、どこまで強欲なんだ、という気もしますが)。
>何度痛い目を見ても同じ失敗ばかり繰り返しているのではないか、というのが歯がゆいです。
名古屋や大阪のやり方がどうだったのかはよく知らないのですが、今回の招致活動を見る限り、東京は終始一貫して自分の都合だけで物事を考え、投票する人たちの判断基準について考慮しているようには見えませんでした。結果が出た後の発言を見ても、やはりそうだったのだろうと思います。
投稿: 念仏の鉄 | 2009/10/06 09:39
>オリンピックを開催してなお、
>CO2の吸収量が排出量を上回るという話でしたね。
>その上オリンピックが無しになったのですから、
>もう大気中の CO2減りまくりですよねー
どうもこれは私が間違ってたようです。彼らの公約は
「大会の計画段階から準備・運営・撤去段階に至るまで(例えば外国選手や観客の飛行機移動に伴うCO2排出量等も加味)のCO2排出量」よりも
「東京都が削減する(いつまでに削減するぶんのことかはわかりませんが)CO2排出量」が上回る、
ということであって、べつに東京都全体でCO2の吸収量が排出量を上回るなんてことは言ってなかったんですね。
これは例えば「夏休みの家族旅行にかかる金」よりも「1年間で家計から節約する金」が上回る、と言ってるようなもので、「1年間で家計から節約する金」を永遠に毎年節約し続けることは不可能ですから、このコンセプトはもともと「持続可能な家族旅行」とは呼べませんね。今ごろ気付きました。
投稿: nobio | 2009/10/07 10:28
上のことは
「2020年までに(1990年比で)25%削減を目指す」
がメチャメチャ困難な数字のように言われる一方で
「2016年には世界初のカーボンマイナス・オリンピックを達成する」
がさほど突っ込まれなかったのは何故だろう、
ということを考えてて気付きました。
投稿: nobio | 2009/10/07 10:32
>nobioさん
しかし、「大会の計画段階から準備・運営・撤去段階に至るまでのCO2排出量」って、どこまでを計算に入れてるんでしょうね。巨大イベントの開催時には必ず「経済(への波及)効果」がプラス材料として持ち出されるわけですが、これからは同時に「CO2排出(への波及)効果」も算出しなきゃいけなくなるんでしょうか。
そもそも東京五輪の開催期間は「各家庭が冷房を入れる上にテレビで甲子園を見るので電力消費がピークに達する」と言われる時期で、その上さらにオリンピックをやったりしたら、需要が供給能力を超えたりしないんだろうか、という素朴な疑問もあるわけですが。そうすると結局は「CO2をあまり出さない原子力発電を増やせ」みたいな話になるのか。
投稿: 念仏の鉄 | 2009/10/09 07:59
>べつに東京都全体でCO2の吸収量が排出量を
>上回るなんてことは言ってなかったんですね。
またしても私が間違ってたようで、「東京をカーボンマイナス都市にするという革新的な公約」があったんだそうです。詳細は下記。
http://dragox.exblog.jp/11374012/
投稿: nobio | 2009/10/11 21:35
広島市と長崎市とが立候補を予定しているようですが、鉄さんはどうお考えでしょうか。
僕は、そもそも国一つにつき一都市という原則や財政面をどうするのかという問題も気になっていますが、なにより基本に「平和」とか「核廃絶」などをアピールするのはオリンピックに多くを求めすぎじゃなかろうかと思ってます。
投稿: ハーネス | 2009/10/12 01:41
広島・長崎の両市長が、五輪招致を正式表明しました。
http://www.asahi.com/sports/update/1011/OSK200910110037.html
まずは以前「東京のあと、今後当分は立候補都市なし」などと、したり顔で予想を申し上げていた不明をお詫びいたします。
「そう来たか!」と驚きつつ、感心しています。
「核廃絶による平和」と大義名分には不足なし。
また、石原慎太郎が五輪誘致から降りる「花道」を与えることになるわけで、政治的にもよく考え抜かれたタイミングでの招致表明です。
さて、どうなるか。
五輪招致の新しい展開です。
これまでの日本の五輪招致は、間違いなく「都市開発」を本音ベースでの目的においたものでした。そういう意味で、「途上国型招致」であった。福岡も、やはりそうでした。五輪開催運営におけるイノベーションを提案し、「五輪」への貢献はきちんと打ち出したものの、「人類」への貢献という意識は薄かった。そして本音ベースではやはり「都市開発」への期待があった。また東京は、石原慎太郎の肥大したエゴを満たすために始まったものだから、大義名分にたいへん苦労しました。「いまさら都市開発かい」と都民が本音ベースで白けていたもんだから、無理やり考えた「環境五輪」という理念も、結局「とってつけたようなもの」以上に深まらなかった。
広島・長崎の今回は、まるで違います。最初に強力な理念ありき、です。
これは面白い。
東京は、降りるでしょう。とすると、JOCは広島・長崎と組まざるを得ない。
これにまさる「理念」を提示できる都市はないし、そもそも「招致立候補」は極めて不人気な政策となっています。他に手を挙げる都市は、現れないでしょう。(などと半可通が賢しげに予想していると、また恥をかきそうですが(笑)。)
ここでJOCの「性根」が問われます。
JOCという組織は、「招致活動」があっていればよかった。今回の150億円という招致経費のかなりの部分はJOCに流れたのでありましょうし、五輪を名目に「大檀那」東京都に施設整備をさせれば、それでよかった。私は連中が本気で「勝てる」と思っていたか疑問に思っています。JOCとしては、負けても大いによし、勝てれば望外のラッキーと考えていたことでしょう。招致に関する窓口と情報を独占していることわいいことに、ややもすれば「招致活動」そのものが自己目的化していた。
広島・長崎について招致を行う場合、強い「大義名分」を都市側が提供してくれたわけですから、これで負ければJOCが売り込みそこなったということになる。「敗戦」の責任が、初めて強く問われることになる。そして当然、これまでのようにお金はありません。
招致活動を自己目的化させたJOCが、その「性根」を改めることができるか。広島・長崎と組んでの招致活動は、JOCにとって大きな試練となると思われます。
(だから、JOCが嫌がるかもしれませんねぇ。東京と組む方が「おいしい」もんだから、東京の袖をつかんで懇願する。しかしそういうことを続けていたら、日本は決して「世界で戦える」プレイヤーになれないのでありますが。)
投稿: 馬場 | 2009/10/13 14:45
>nobioさん
ふうむ…。
「そういうのはオリンピック抜きでもやればいいんじゃないの」
「そんな話をぶち上げて、何が狙いなんだこの人たちは」
という2つの感想が、とりあえず浮かびました。
>ハーネスさん
>広島市と長崎市とが立候補を予定しているようですが、鉄さんはどうお考えでしょうか。
面白いと思う面もあるのですが、現時点では、あまり積極的に応援しようとは思いません。
面白い、というのは「2都市共同開催」という枠組み自体です。
2016候補の国内選考の前に石原都知事が盛んに言っていたように、近年の五輪は、国内最大規模の大都市でなければ開催できない、というより最終候補にも残れない、という状況になっています。
そこに一石を投じる、という意味では面白いと思っています。
五輪憲章で1国1都市開催が明記されているとはいえ、2都市共同開催が五輪の理念や本質を損ねるような改変であるとも思えないので、メリットがデメリットを上回ると判断されれば、ここは変わる可能性もあるんじゃないかと思います。
(サッカーのワールドカップ2002年大会もそうでした。組織の体質はFIFAもIOCも似たようなものでしょう)
ただし、それ以外の面では、難しいんじゃないかという印象が否めません。
両都市の財政状況、既存の競技施設の不足、そして両者を結ぶ交通網(JRを乗り継いで3時間、という距離)。
いずれも障害と見なされることでしょう。
そして何より「核廃絶」というテーマ。
確かにTOKYO2016における「環境」よりも強烈ではありますが、同時に劇薬でもある。参加国の間で、またそれぞれの国内でも議論が二分するようなデリケートな政治的テーマです。
これを掲げて五輪を開催しようとは、政治利用がいささか度を過ぎるのではないかと。
というわけで、
>「平和」とか「核廃絶」などをアピールするのはオリンピックに多くを求めすぎじゃなかろうかと思ってます。
というご意見に同意します。
>馬場さん
そんなわけで、JOCについてのお考えの是非はともかく、この「理念」「大義名分」がそれほど日本を有利に導くものであるとは、私には思えないのです。
広島・長崎の提案をJOCが断る理由はいくらでもあると思いますよ。
投稿: 念仏の鉄 | 2009/10/14 19:20
これ↓
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2008/02/DATA/70i2m100.pdf
によると、「カーボンマイナス東京10年プロジェクトの目標」は、「 2020年までに、東京の温暖化ガス排出量を2000年比で25%削減」だそうで、どうも「カーボンマイナス」とは「温暖化ガスの排出量を減らす」ことだと理解してるみたいですね。救いがたいアホですね。
投稿: nobio | 2009/10/18 21:56
東京がふたたび立候補するかどうかは、再来年(2011年)4月の知事選のあと、新知事がお決めになることだそうで(笑)。
東京の再立候補は「あり得ない」と思います。
そうすると広島・長崎だけになるので、そのときJOCはどうするんでしょうかね?
一本化のために落としたことはありますが、「やりたい」都市を「断った」ことはこれまでなかったと思います。
「二都市開催」は、「広島が主、長崎が従」と切り分けることでクリアできますし、「平和・核廃絶では戦えません」と戦う前から言えるとも思えない。(そんなこと言ったら「平和団体」からデモかけられます(笑)。)私には、他に候補都市が手を挙げれば別ですが、JOCにとって広島・長崎を「断る」ことは、かなり困難なように思えます。
投稿: 馬場 | 2009/10/20 16:45
>nobioさん
東京の二酸化炭素排出量を減らすことはともかく、増やすことはかなり困難ですしねえ。というか、そもそも東京単独で計算したら、どんだけ排出オーバーから出発しなくてはいけないのか。
>馬場さん
おっしゃるようなことは、広島・長崎が実務上の開催能力を立証した後に生じる問題です。
現段階で両都市は「立候補する」と表明しただけで、何ら具体的な計画を示してはいませんから、それを論じるのは早計かと思います。
投稿: 念仏の鉄 | 2009/10/21 08:24