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2012年7月

日本プロ野球選手会のWBC出場ボイコットに関する連続ツイート。

7/19のツイート。

●要求内容は正当だと思うが、交渉戦術としては展望のないやり方に思える。相手はそもそも交渉のテーブルに付く気がなさそうに見える。日本代表がボイコットしたからといってWBCが困るだろうか。/選手会がWBC不参加を決議(デイリースポーツ) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120720-00000033-dal-base

●ボイコットしたところで日本抜きで開催されるだけのことになりかねないし、そうなると第4回以降はさらに立場が弱くなる。交渉事や訴訟合戦にかけては、野球以上に彼我の実力差がありそうなだけに悩ましいが、参加しながら交渉を続ける方がベターであるように思う。

●一般論として、要求事項が何であれ、それがどれほど正当であれ、野球選手が交渉材料として「野球をやらない」と言い出すことには抵抗を覚える。

●WBCに関しては、どれほど理屈をつけたところで、要求事項そのものは「もっと金をよこせ」に尽きる。それが容れられないなら野球をやらない、というのでは、見物人としては、一定の理解はできても、賛同はできない。私が見物したいのは野球であって法廷闘争ではない。

●スポンサー収入の帰属先をめぐってMLBと争っているのが選手会、というのも奇妙な構図ではあるが。本来ならそこで矢面に立つのはNBPの役割であり、再任されたコミッショナーの仕事であるはずだ。

●よもやMLB内で「日本人メジャーリーガーだけで1チーム作って参加させりゃいいや」みたいな話になる可能性はあるんだろうか。捕手はカート・スズキあたりで。

●木村公一さんによると、WBCはそもそもそういう大会、ということのようだ。同床異夢にもほどがある、ということですな。


7/20のツイート。

●WBCの件の続き。選手会の主張はこちら。http://jpbpa.net/wbc/ 前にも書いた通り、主張には正当性があるが、手段には飛躍があると思う。この次元の争いで「未来の日本の野球のために」と言い切ってしまえる感覚にはついていけない。

●不参加が日本野球の未来に及ぼすメリットとデメリットを冷静に検討しているのだろうか。この大会が始まった時、私は「どんなに運営に問題があっても、日本野球は参加して勝つことを目指すべき」と主張していたが、今もその考えに代わりはない。WBC抜きでも日本野球が安泰だというなら別だが。

●今の日本で、あるスポーツが人気競技であり続けようとするなら「世界に挑む日本代表」という存在は極めて重要だ。現実に用意された「世界」がどれほど歪んだ空想的なものであったとしても、日本野球はその物語を必要としている。歪みを是正するためにも、参加して勝って発言力を増すことが大事。

●2度も優勝したのに発言力が増えないじゃないか、と言われればごもっともだが、それでもやっぱり、他に世界大会がなくなってしまった以上、参加して勝つ以外の選択肢は見えない。

●「日本野球の未来のために」というからには、選手会は最低でもこのレベルの議論をしていてほしいのだが、さて現実はどうなんでしょう。


●運営上の問題がたくさんある大会なのに、選手会は金の話しかしない。選手には選手の言葉があるべきで、弁護士の言葉とは違うはずなのだが、両者は綺麗に一致している。/WBC「経済的メリット取れるのはMLBのみ」 石渡氏が大会の構造改革を訴え http://sankei.jp.msn.com/sports/news/120629/bbl12062909030001-n1.htm

●いつも思うんだが、選手会の名のもとに公表されるこういう文章って、誰が書いて、誰が決済してるんだろう。週刊ベースボールの連載にも署名がない。http://jpbpa.net/news/?id=1342765958-887972

●「なお、野球の国際大会において“侍ジャパン”の名の元に行う日本代表による、独自の国際試合への参加については積極的に協力していく所存です。」http://jpbpa.net/news/?id=1342765958-887972  … って、どこにどんな国際大会があるというのか。

●(yusuketsuikiさんへのレス)選手たちは素晴らしい試合をすることで、もともと価値の疑わしい大会に、独自の価値を与えてきたのです。価値は試合の中にしかない。選手会サイトの文言で嫌なのは、スポンサー権料を「日本代表の価値」と呼んでいることです。それは「選手の言葉」ではありません。

●で、あえて金の話もしておくと、野球日本代表のスポンサー権料というのは、五輪やWBCに参加するから発生するのであって、そこに出場しない代表が同じ利益を生むとは到底思えない。だから、WBCをボイコットしたらMLBに吸い取られる金が日本代表のものになるわけではない。単に消滅するだけだ。

●一方、日本代表がWBCに参加することで生ずる利益はスポンサー権料等だけでなく、有形無形の経済効果があるはず。例えば大会前の有料練習試合、大会後のNPB公式戦の観客動員増、無形でいえば野球の人気、注目度の高まり。WBCボイコットはそのすべてを無にする。

●選手会の議論は、WBC参加の波及効果を無視している。WBCなしでも日本代表の価値が存続するかのような書き方だが、それは無理があるんじゃないだろうか。野球が五輪を失ったダメージは大きい。

●これは選手会とは関係ないけど、日本がWBCに代わる国際大会を主催する、という案には、残念ながらあまり意味がない。メジャーリーガーが参加しない大会は、WBCの価値を超えられないから。

●そういえば昔、こんなことを書いてたのを思い出した。ロンドン五輪の開幕直前にこういう事態が起こるのだから、なんともはや。すごい閉塞感。/五輪競技落選による、MLB一極集中体制の完成。 http://kenbtsu.way-nifty.com/blog/2005/07/post_b834.html


ちなみに、昨年10/10にはこんなツイートをしていた。

●アイデアとしてはアリだと思うが、日本一監督がアメリカ人だった場合にも適用するんだろうか?(それ以外の外国人という可能性は、現実的にはまず考えにくいのでここでは無視する)/日本一監督が侍ジャパン指揮官就任へ! http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2011/10/11/kiji/K20111011001796360.html …

●バレンタインくらいの実績があれば別だが、ヒルマンのようにMLBの監督経験がないアメリカ人が日本代表を率いてUSA本土に乗り込むとなると、精神状態が心配になる。それ以前に、ディフェンディングチャンピオンである現状では、ファンも外国人監督を容認しないのでは。

●なお、WBCの参加条件に関してNPBと選手会がやっている条件闘争については、原則として賛成してます。アサヒビールが払うスポンサー料が主催者に入っているとは知らなかった。それはどう考えても不当だろう。今大会だけで万事解決するはずはないが、開催されるたびに粘り強く交渉していくべき。

●ただ、日本が単独で金の話だけを交渉している、というのはうまくない。自国リーグで強い代表チームが作れるキューバと韓国を、何らかの形で抱き込んで共闘できたらよいのだが。この3か国が全部欠場したら、国際大会としては格好がつかないだろう。共通の利害をどこかに見いだせないものか。


…選手会に対する意見としては、ストが終わって第1回WBCに向けた動きが始まってから、ずっと同じことを書いている。もうずいぶん時間が経って、ストの後からプロ野球に入って来た選手も増えたが、大きな状況としては変わっていないと思う。つまり、「WBC抜きでも日本野球が安泰だというなら別だが。」というところがすべての根っこにある。

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「なでしこ優勝の裏側で」などに関する2011/7/24の連続ツイート

 今さら1年も前のことを、という気もするが、ロンドン五輪が終わると状況が一変している可能性がなくもないので今のうちにまとめておく。
 サッカー女子日本代表がワールドカップに優勝した後で、代表選手たちの待遇が悪い、とテレビやら何やらいろんなところで騒がれ出して、という時期に、為末大氏と乙武洋匡氏がツイートで語った一連のやりとりが、togetterで「なでしこ優勝の裏側で」と題してまとめられた。それを読んでの感想。

●サッカー女子代表が世の中から与えられている脚光と環境が非対称だ、という為末さんの嘆きには共感できる。が、それをスポーツ全般や文化にまで一般化してしまう乙武さんの論法には違和感がある。

●人生のかなりの部分を費やしてスポーツや文化活動に打ち込んでいる人は大勢いる。そのことだけを理由に公共が支援する、というわけにはいかない。支援する対象を選ぶ基準は、結局は「人気」や「実績」で選ばざるを得ない。

●「スタジアムに足を運ぶ人が増えることが、いちばん効果的だとは思うけれど、それ頼みでは長続きしない」(乙武さん)。しかし、観客が足を運ばない競技を税金で支援するというのも奇妙な話ではないか。

●女子サッカーには女子サッカー特有の問題があり、特有の解決法があるはず(「JFAは金持ちなんだからもっと女子も支援しろ」なんてことは、他競技では言えない)。が、不用意に一般化すると話がおかしくなる。

●文化支援となるとさらに厄介。無償の情熱で活動している人は多いし、スポーツのようにわかりやすい成果軸もないのに、支援する対象をどう選ぶか。結局は「識者」と称する業界のボスたちが談合して利益誘導、なんてことになりかねない。

●3年前に大阪の交響楽団への補助金打ち切りへの反対運動があった。補助金が年間4億5000万円で、反対署名が7万5000人。彼らが1人6000 円出せば済むのに、なぜ府が税金を使う必要があるのか不思議だった。

●観客が「一時的に増えても、また時がたてば逆戻り」(乙武さん)だったのとすれば、それだけの魅力しかなかったということ。それでは、選手が競技だけで生活することはできない。世界ランク順位と経済的価値は必ずしも比例しない。

●だからこそ、「今度こそ」と思いたい。昨日の神戸とジェフの試合には魅力があった。私はスカパーで見たが、スタジアムに行きたい、と思う試合だった。これから9月の五輪予選にかけて、多くの人にそう思わせる試合をしていけば。

●行政の支援は、練習施設の整備、企業がスポーツや文化活動を支援しやすい枠組み作り(休暇制度とか免税とか)などの環境整備を中心にするのがよいと思っている。競技団体が後援組織を作る指導、なんてのもいいかも。

以上。今読み返すと、行政の支援の話だけに限定してしまうと、2人の関心事から若干ずれる感はある。
あと、例えばワールドカップ優勝によって「感動した!なでしこ万歳!」みたいな気分になった人たちから、きちんと選手たちに届くように金を集める仕組みを作る責任は、一義的には競技団体にあると思う(これを書いた頃なら、喜んで金を出す人は大勢いたと思う。今でも少なくないだろう)。募金でも資金集めパーティーでも堂々とやればよい。そこをすっとばして、選手が不遇なのは社会の責任、みたいな話になっていくと、やや短絡気味という印象を受ける。

これに先立つ7/20にはこんなことを書いていた(ダブり感があるな)。

●「なでしこ選手の厳しい生活実態」って、そこらじゅうのワイドショーで取りあげられている。世界一だから支援すべき、という意見は、事業仕分けで仕分け人から出た「マイナースポーツを支援してもメダルに届かないのでは」という質問と、論理的には矛盾しない。

●国民の多くが望むのならば、国や公共団体から特定競技への支援をより手厚くするのは、結構なことだと思う。だが、そのことと、その競技がプロスポーツとして成り立ち、選手が競技専業で生活していけるかどうかは、また別の話。

●結局は、国に「支援しろ」と言うだけでなく、例えば「なでしこリーグ」や各チームの存続を自分の問題と考えて何らかの支援をする人がどれだけいるか、にかかってるんじゃないだろうか。少なくともJリーグは20年近くかけて、そういうサポーター層をある程度は獲得した。

以上。この最後のツイートは為末氏に対する見物人からのひとつの答えになっている気がする。


ちなみに昨日はこんなことを書いた。

●なんだかなあとは思う。が、判断軸がいろいろあるので、考える材料としては面白い。競技内での五輪の位置付け。メダルへの距離。両代表が協会にもらたす収入。選手たちの普段の待遇。どれを重視するか。/男ビジネス女エコノミー - 日本代表,サッカー

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